知ラナイモノが多すぎる

検索したりしてわかったことなどを書きつけます。

【体験談】iPhoneが起動しない!?恐怖のリンゴループ!iPhoneを初期化しました!

みなさんは「リンゴループ」という言葉はご存じでしょうか?

ここでいう「リンゴ」はiPhoneでおなじみのapple社のロゴマークを指します。

iPhoneユーザーならご存じかと思いますが、iPhoneの電源をオンにすると起動中にリンゴのロゴマークが浮かんできます。

このリンゴのロゴマークから一向に進まず延々とリンゴマークがループする現象を「リンゴループ」と言います。

要するに起動しないんですね。

つい先日私にも「リンゴループ」を食らってしまいました。

一応現在は通常に使用できる状態に回復しています。

その体験を述べていきたいと思います。

実際にこの状態に陥った人の参考になれば幸いです。

 使用機種、状態

リンゴループに遭った機種は、iPhone7です。

2021年現在iPhone12が発売されていますので、7はだいぶ古い機種になります。

iPhone7の発売は2016年ですが、その当時買ったのではなく、それから2~3年後に安くなってから購入しています。

なので2~3年使用していることになります。

iPhone7はストレージが32GB, 128GB, 256GBの3種類ありますが、私が使っていたのは32GBのものです。

リンゴループに遭ったときはかなりストレージを圧迫していました。

しょっちゅう容量不足の警告が出てましたし、そのせいか調子が悪くなって再起動をかけることも多くなっていました。

再起動したときに画面のアイコンが見えなくなる現象が発生していました。

本来アイコンがあるはずの位置にアイコンがないのです。

タップすればそのアプリは起動するので、アイコンが透明になっているというか見えないというかそんなバグも頻繁に起こっていました。(この現象には「リンゴループ」のような名称は見つかりませんでした)

まとめますと、

  • 5年前の古い機種
  • 2~3年使い倒していた
  • 容量を圧迫していた
  • 容量不足でしょっちゅう再起動していた
  • 再起動した際、アイコンが消えるバグも起こっていた

あらためて見ると、いつ事故が起こってもおかしくない状態ですね。

でもこのときの私は、調子が良くないことは認識していましたが、使用できているし問題はないと思っていました。

思いっきり油断してますね。

事故は、「リンゴループ」は、こんなときに襲い掛かってくるのです。

リンゴループの発生原因&対処方法

原因

リンゴループの発生原因を検索してみるとさまざまありまして、

  • 不用意な強制終了の繰り返し
  • ストレージ(本体容量)の容量不足
  • アップデート作業中にWi-Fiや電源が切れてしまうなどの中断によるエラー
  • iOSやデータ領域のエラーによるシステムの不具合
  • iPhoneの落下&水没による故障
  • バッテリーの劣化

などで、私の場合は強制終了の繰り返しとストレージの容量不足のダブルパンチが見事当てはまったのでしょうね。

今後は容量に余裕をもって使用したいと思います。

 対処方法

対処方法も調べてみるとたくさんありました。

  1. SIMカードを抜いて再起動する
  2. ほかの端末から電話をかけてみる
  3. セーフモードで起動してみる
  4. iTunesで同期する
  5. iTunesに繋いでiOSをアップデートする
  6. 完全放電をする
  7. リカバリーモードでアップデートする

など。

再起動と完全放電はやってみましたが、結局再びリンゴループに戻るだけでした。

私が回復した方法は、「iTunesで復元する」でした。

要するに初期化=工場出荷状態に戻すということです。

初期化ってデータなくなっちゃうじゃん!って思いますが、何もしなければ文鎮として使うより他なかったので、残された選択肢は、

でした。

この選択肢ならまずはお金のかからない初期化から試すのが順当でしょう。

やってみた結果、見事起動に成功!

リンゴループから脱出できました。

初期化も思ったほど大変ではなかったです。

初期化する前は、LINEとかゲームのデータ飛んじゃうかなあと不安でしたが、案外大丈夫でしたよ。

これだったら容量が少なくなってきたら、前もってきちんとバックアップして初期化しておけばよかったと思います。

実際に初期化してみた!

用意するもの

  • パソコン
  • iPhoneとパソコンをつなぐケーブル
  • リンゴループに陥ったiPhone

手順というより実際に行ったこと

  1. パソコンでiTunesを検索しインストールします。
  2. リンゴループのiPhoneをケーブルで接続します。
  3. iPhoneをセーフモード(音量ダウンボタンと電源ボタンを同時押し)で起動したり何だかんだします。(リンゴループ中は再起動できているかどうかもよくわからないため)
  4. iPhoneリカバリ画面になれば成功。(パソコンとライトニングケーブルが表示される。)↓参照

    support.apple.com

  5. パソコンでiTunesを見ると「OSのアップデート」か「復元」のどちらか選ぶように尋ねられる。
  6. 「復元」というのは初期化のことなので、できればデータが残っていてほしいと思い、「OSのアップデート」を選択しました。
  7. エラーが出て、「OSのアップデート」ができませんでした。
  8. 仕方なく「復元」を選択。
  9. 「復元」もエラー。もうappleストアに行くしかないかと半分諦めかけながらももう一度「復元」を試してみました。
  10. すると今度は「復元」成功!ちゃんと起動する~、リンゴループから脱出しました!

クイックスタートが超便利!初期設定とデータ移行

 無事に初期化して工場出荷状態に戻すことができました。

が、初期設定やらデータ移行やらが必要です。

iPhoneからiPhoneへ機種変更したことのある方はご存じかもしれませんが、iPhoneにはクイックスタートという機能があります。

どういう機能かと言うと、新旧のiPhoneを横に並べるだけで初期設定やデータ移行ができるというものです。

詳しくは下記を参照してください。

support.apple.com

私の場合、リンゴループに陥ったiPhone7の前に使用していたのは、iPhone6s。

自宅で保管していたので、これを使ってクイックスタートを実行しました。

iPhone6sからiPhone7への移行はdocomoの店内で行いましたので、店員さんの監視もありましたし問題はありませんでした。

自分一人でクイックスタートするのは初めてで不安でした。

結果としては、拍子抜けするほど簡単でしたね!

古い機種を横に置くだけでクイックスタートが始まりました。

あとはiPhoneの指示に従うだけで初期設定&データ移行は完了です。

クイックスタートで引き継げないアプリの設定

簡単便利なクイックスタートですが、引継ぎができなかったアプリがいくつかありました。

  • ゲーム(クラッシュロワイヤル)や電子書籍など
  • LINE
  • iPhone標準メールアプリ

これらのアプリについては、アカウントが引き継げていませんでしたので、自力で設定しなくてはいけませんでした。

ゲーム(クラッシュロワイヤル)や電子書籍など

クラッシュロワイヤルというゲームはご存知でしょうか?

2ちゃんねる管理人のひろゆきさんもご愛好されているというゲームです。

こちらのアプリを開いたときにチュートリアルが始まって、「最初からやり直しか!?」とピンチに思いました。

が、すぐにログイン画面が現れてメールアドレスなどを入力すると、そのメアドに6桁の数字が送られて、それを入力すると無事ログインできました。

メールを登録しておいてよかった!

備えあれば憂いなし、これが今回の教訓ですね。

このほか電子書籍等もアカウントや登録しているメールアドレスさえわかっていれば再度ログインすることで従来どおり使うことができました。

LINE

LINEは失敗すると友達の連絡先も消えてしまうという噂を聞いており、慎重に対処せねばと思っていました。

結論から言うとこちらもトラブルなく引継ぎができました。

必要なのは登録している電話番号くらいです。

電話番号を入力すればSMSに認証番号が送られてきてそれをまた入力するという方式でした。

連絡先は無事でしたが、私の場合トーク履歴は消えてしまいました。

すべてを失うことに比べれば大したことはないです。

過去は振り返らない主義で行きましょう。

iPhone標準メールアプリ

メールの設定だけ少し戸惑いましたね。

iPhoneの最初からインストールされている標準メールアプリでdocomoのキャリアメールが見れていたんですが、初期化したら見れなくなっていました。

標準メールアプリを開くとこんな画面です。

f:id:kkkaikei:20210806052713j:plain

iCloudで設定すればいいのかとログインしてもうまく行かないといった試行錯誤を繰り返してました。

答えとしては、下記サイトの「設定手順」の「3.iPhoneドコモメール利用設定」にありました。

www.nttdocomo.co.jp

docomoのメールを設定する場合には、Mydocomoからプロファイルなるものをダウンロードし、これをインストールすれば標準メールアプリからドコモメールが利用できるようになりました。

docomoだけの特殊な仕様ではないでしょうか。

すぐに「iPhone docomo メール」で検索すればよかったんですがね。

失ったもの

大体の重要なものは復旧しました。

ですが、やはり失ったものもあります。

細かいものを言えば、ブラウザの履歴や先ほども言ったLINEのトーク履歴などがありますが、一番大きなものは写真ですね。

私はかねてからAmazonフォトでバックアップを取っていたのですが、ストレージに余裕がなくなって、Amazonフォトのアップデートを怠っていたため、直近の写真はバックアップを取っていなかったのです。

これが一番の痛手でしたね。

まとめ

今回のリンゴループの原因

ストレージ不足による不調から強制終了・再起動をやりすぎたことだと思われます。

リンゴループの対処

PCを使って初期化するので問題ありません。

初期化してしまうとすごい手間になると思っていましたがそれほどでもありません。

他にも検索すれば対処方法が出てきますので、ほかの方法を試すのもいいでしょう。

初期化について

クイックスタートを使ったので思った以上にスムーズにできました。

というより、初期化したことでストレージが増え、操作が快適になりました。

こんなことなら先に初期化しておけばよかったと思えるほどです。

なので、大事なことは、

  • クイックスタートのために前に使っていたiPhoneを保管しておく
  • 定期的にバックアップを取る
  • 各種アプリのアカウントを整理しておく

これらを抑えていれば、ストレージが不足してきたら定期的に初期化してもいいかもです。

いま本当に快適で新品に買い替えたような気分でまたしばらく使えそうです。

次にiPhoneを買い替えるときは、最新機種を買って、定期的に初期化して長く使うというのが経済的でストレスのない方法かもと思っています。

 

このあたりで筆をおきたいと思います。

最後までご覧いただきありがとうございました。

【徹底検証!】地方公務員はiDeCoに加入すべきか?本当にメリットありますか?その5【地方公務員の定年延長でiDeCoのメリットが受けられるのか?】

地方公務員がiDeCoに加入すべきか否かを検討します。

大まかな流れは下記のとおりです。

  1. iDeCoとは?
  2. iDeCoのメリット・デメリット
  3. 地方公務員はiDeCoのメリットを享受できるか?
  4. 地方公務員の定年延長でiDeCoのメリットが受けられるのか?

本日の記事では、上の3について解説していきたいと思います。

◆過去記事
  1. 【徹底検証!】地方公務員はiDeCoに加入すべきか?本当にメリットありますか?その1【まずは概略】 - 知ラナイモノが多すぎる
  2. 【徹底検証!】地方公務員はiDeCoに加入すべきか?本当にメリットありますか?その2【iDeCoとは?】 - 知ラナイモノが多すぎる

  3. 【徹底検証!】地方公務員はiDeCoに加入すべきか?本当にメリットありますか?その3【地方公務員はiDeCoのメリットを享受できるか?】 - 知ラナイモノが多すぎる

  4. 【徹底検証!】地方公務員はiDeCoに加入すべきか?本当にメリットありますか?その4【地方公務員の定年延長でiDeCoのメリットが受けられるのか?】 - 知ラナイモノが多すぎる

 4.地方公務員の定年延長でiDeCoのメリットが受けられるのか?

(前回からの続き)

退職金を遅く受け取る、というか定年延長に税制上の利点があるとは知らなかった。

要するに、勤続年数が長くなるのでその分退職所得控除が多くなるのだ。

また、定年延長で5年長く働く分退職金も単純に上乗せになることもわかった。

どうせ60歳では年金はまだもらえなくて、再任用で働くのだ。

定年延長で常勤職員として働く方が有利に決まっている。

「ところでマスヲさんはiDeCo加入してます?」

ノリズケが言った。

知っているのか?

iDeCoには最近加入したばかりだ。

情報が流れたのはナミペイからか?妻からか?

村社会のような旧来の家族制が未だに幅を利かせているこの親戚づきあいと言う名の情報漏洩には吐き気がする。

こういった負の感情を一切表に出さずにマスヲは答えた。

「うん、この間始めたよ」

「公務員だと退職金が多いからiDeCoの受け取りにも所得税がかかっちゃいますよね?」

「さすが!よく知ってるね」

確実にナミペイからだな、とマスヲは思った。

「そこでね、退職金の5年ルールと言うのはご存じですか?」

 何だそれ?知らない。

地方公務員の定年延長とiDeCoの受け取りについて

退職所得は税優遇がすごい!

復習になりますが、iDeCoのメリットのうちのひとつが退職所得税の控除対象になることでした。

どういうことかと言うと、まずお金をもらうと所得税という税金がかかります、悲しいことに。

サラリーマンなら毎月の給与明細にいくらか税金用に差し引かれてるのをご覧になったことがあると思います。

退職金をもらったときも例外ではありません。

所得税がかかります。

ただ、退職金って普段の給料の数倍〜数十倍の金額だったりします。

それが普段の給料と同じ税率で税金を取られたら、もうめちゃくちゃえげつない税金の額になってしまいます。

退職金は、「長い間働いてご苦労さまでした」という意味合いもあるので、税金的に優遇したろやないか、というのが退職所得控除です。

どんな優遇の仕方なのかというと、勤続年数によってかなりの金額が控除されます。

控除って何かというと、とにかく引き算するということです。

具体例を挙げて計算してみましょう。

退職金が2,100万円だったとします。

仮にこれが退職金でなく通常の所得税がかかるとしたら、税率40%、控除額が2,796,000円なので、下記のとおりの計算になります。

2,100万円×40%ー2,796,000円=5,604,000円

2,100万円のうち約560万円が税金で持っていかれます。

恐ろしいことに、4分の1以上が税金ですね。

これが退職金となると、計算方法がガラッと変わります。

まず勤務年数によって退職所得控除額が変わります。

勤務年数が38年の場合、退職所得控除額が

800万円+(38ー20)×70万円=2,060万円

退職金から退職所得控除額を引いた額の半分が退職所得の金額になります。

計算式は以下のとおりです。

(2,100万円ー2,060万円)÷2=20万円

この20万円を所得額として所得税の計算をします。

下記のサイトの税額表を参照して計算するとこうなります。

退職金と税|国税庁

20万円×5%=1万円

2,100万円のうち、税金は何と1万円です。

560万円とえらい違いですね!

退職時にiDeCoの受け取りがある場合はどうなるか?

では、このとき退職金の他にiDeCoの受取が550万円あったとしたらどうなるでしょう?

2,100万円+550万円=2,650万円

これが収入金額になるので、ここから退職所得控除額を引いて半分にした金額が退職所得の金額になります。

(2,650万円ー2,060万円)÷2=295万円

退職所得の金額が295万円の場合、税額は、

295万円×10%ー97,500円=197,500円

約20万円になります。

ここで思い出してほしいのが定年延長です。

退職所得控除額が2,060万円というのは、22歳から60歳まで38年間勤務した場合の金額でした。

38年からさらに5年勤務すると、43年間の勤務になります。

退職所得控除額は、以下の計算式になります。

800万円+(43ー20)×70万円=2,410万円

収入金額が先ほどと同額の2,650万円だとすると、

(2,650万円ー2,410万円)÷2=120万円

120万円×5%=6万円

ということで、税金が6万円で済みました。

退職金の5年ルールとは?

これまでは退職金と同時期にiDeCoの受け取ることを前提にお話してきましたが、受け取り時期をずらせば、退職金にもiDeCoにも退職所得控除がそれぞれ適用されます。

ただし、1日ずらしても適用されるのか、というとそうでもありません。

5年ずらす必要があります。

また、退職金とiDeCoどちらを先に受け取るかも関係しています。

両方とも退職所得控除を受けるために空ける期間は、

  • iDeCo→退職金の場合、5年
  • 退職金→iDeCoの場合、15年

というように受け取り方によってずらす期間が変わってきます。

(参考:iDeCo(確定拠出年金)は受取方法で税金に大差が!?なるべく税金が掛からないようにするには | 「断捨リノベ」ファイナンシャルプランナーが監修するライフスタイルマガジン

定年延長によりより税制上有利な受け取り方ができるようになった

iDeCoも退職金もそれぞれ退職所得控除が適用される受け取り方ためには、

  1. iDeCoを受け取ってから5年空けて退職金を受け取る
  2. 退職金を受け取ってから15年空けてiDeCoを受け取る

この2通りの方法が考えられます。

現行の制度

  • iDeCoの受け取り開始時期=60~70歳
  • 地方公務員の退職年齢=60歳

まず、iDeCoを退職金より先に受け取ることはできませんので、上記の1.の方法は不可能です。

2.の方法ですが、例えば早期退職で55歳で退職金を受け取って、iDeCoを70歳で受け取れば15年空けることはできます。

退職45歳→iDeCo60歳ももちろん可能です。

ですが、退職後の生活費が確保できていないとお勧めできません。

近年流行中のFIREを達成できればいいでしょうが、誰にでもできることではないと思います。

令和4年(2022年)4月1日以降

令和4年4月1日から段階的に地方公務員の定年が延長されます。

また、iDeCoにおいても受け取り開始可能年齢が75歳まで拡大します。

  • iDeCoの受け取り開始時期=60~75歳
  • 地方公務員の退職年齢=60~65歳

この改正によりiDeCoを60歳で受け取り、65歳で退職金を受け取ることが可能になります。

これでiDeCoも退職金もそれぞれ退職所得控除が適用されるというわけですね。

まとめ

5回にわたって長々と地方公務員がiDeCoに加入すべきか検討してきましたが、結論としては下記のとおりです。

  • 地方公務員は退職金が大きいので、退職金だけで退職所得控除の枠を使い切ってしまいがち
  • それを踏まえても所得税の課税対象となる金額はiDeCoの受取額の半額になるので税優遇の効果は十分にある
  • 加えて、地方公務員の定年延長により、iDeCoと退職金と受け取り時期をズラして、iDeCoも退職金も退職所得控除の適用を狙うことができるようになった

要するにiDeCoをやらない理由がないですね。

懸念事項

最後に懸念事項だけお伝えいたします。

「いつまでもあると思うな親と税制」という言葉があるのかないのかは置いときますが、現行の税金の制度がいつまでも続くとは限らないことは頭に置くべきですね。

20歳でiDeCo始めたら、その受け取りは40年後です。

消費税もこの20年で3%から10%になるくらいですので、40年後も同じ税制とは限りません。

税金の制度改正などのニュースには耳を傾け、理解する姿勢が大事です。

iDeCoの出口戦略を練るのは受け取りの10年前からで十分と思いますので、それまではじっくり動静を見守りましょう。

 

長々となりましたが、お読みいただきありがとうございました。

【徹底検証!】地方公務員はiDeCoに加入すべきか?本当にメリットありますか?その4【地方公務員の定年延長でiDeCoのメリットが受けられるのか?】

地方公務員がiDeCoに加入すべきか否かを検討します。

大まかな流れは下記のとおりです。

  1. iDeCoとは?
  2. iDeCoのメリット・デメリット
  3. 地方公務員はiDeCoのメリットを享受できるか?
  4. 地方公務員の定年延長でiDeCoのメリットが受けられるのか?

本日の記事では、上の3について解説していきたいと思います。

◆過去記事

 4.地方公務員の定年延長でiDeCoのメリットが受けられるのか?

マスヲは考えていた。

先日ナミペイに指摘され、退職所得控除の計算方法を調べ、退職金だけで退職所得控除の枠を使い切ってしまい、iDeCoは退職所得控除を受けられないことがわかった。

iDeCoで550万円一括受け取りしたとしたら、所得税と住民税合わせて約50万円の税金がかかる計算になった。

だが、掛金で控除される所得税の方が大きいことが判明した。

掛金は公務員の上限12,000円/月として、年間144,000円。

マスヲの場合所得税が20%、住民税が10%なので

144,000円×30%=43,200円

が節税になるのである。

受け取り時に50万円の税金がかかるとしても、毎年43,200円節税できれば12年で採算がとれる。

検討の結果、確かに退職所得控除のメリットは受けられないが、iDeCoに加入する方がお得であるという結論に達した。

しかしである。

マスヲの心に50万円はずっしりと重くのしかかっていた。

全く税金がかからないと思っていた。

これが本音である。

誰も騙していないのに騙された気分である。

実際、先にiDeCoを始めているアナゴくんはこのことに気づいていないだろう。

30年後にびっくりしてしまうだろう。

こんな長期のドッキリ食らいたくない。

50万円というのも小さくない額である。

マスヲは家で晩酌をするのが日課である。

そのつまみは自分で用意する。

最近のブームはちくわであるが、これを帰宅途中のスーパーで購入している。

そのとき必ず見切り品のコーナーをチェックするようにしている。

ちくわは割と見切り品となっていることが多いのだ。

半額になっていて、100円が50円で買えるのなら、安い方がいいに決まっている。

毎日見切り品のちくわを買うとして、日々50円の節約で、そのトータルが50万円になるには何日かかるだろう?

50万円÷50円/日=10,000日

10,000日は何年だろう?

10,000日÷365日=27.39年!?

ちまちま節約しても50万円の節約になるのは27年先なのだ。

見切り品を買うとき、感じなくてもいい惨めな気持ちになるのだが、これを27年も繰り返すと思うと、暗澹たる気持ちになってきた。

計算するんじゃなかったと早くも後悔の気持ちが立ってきた。

家の呼び鈴が鳴った。

誰だろう?

ノリズケであった。

この妻の親類(妻とどういう血縁なのか知らない)は、出版社に勤めており、担当している作家が近所に住んでいるらしく、たまに家に寄ってくるきわめて図々しい野郎である。

さりとて妻の実家に身を寄せているマスヲの立場からこの来客を拒む権利はないし、義父からすれば自分よりこのふてぶてしいブタ野郎の方がなじみ深いであろう。

今日は他に人が家にいないのでマスヲが応対するしかない。

「やあ、ノリズケくん。また先生のところかい?」

「いやいや、今日はおじさんとマスヲさんにお話を伺いに来たんですよ」

義父は釣りに出かけているため、マスヲが話を聞くより選択肢がない。

用があるならアポくらい取れや。

逆にその日に用事入れるわ。

「お義父さんは出かけているから、僕でよければ話を聞くよ。上がって」

「あざーす。急にすみませーん」

厚顔無恥とはこのことだ。

「マスヲさんは、役所勤めですよね。公務員の定年延長について当事者にお話を聞きたくて」

定年延長ね。

職場で通知が供覧されていたのを思い出した。

みんなギャアギャア言っていた。

いわく、そんな歳になってまで働きたくないだの、それだったら早期退職するだの。

今でも再任用制度と言って、60歳で定年退職し、退職後すぐ任用され働くことができる制度、これを利用している人が多い。

再任用職員となるかどうかは任意であるが、年金の受給年齢が65歳からなので、お金に余裕がある人や健康に問題がある人以外は、大体再任用職員となる。

定年延長と言ったって再任用とどう違うかマスヲにはよくわからなかった。

違いと言えば……

「退職金がもらえるのが遅くなりますね」

ノリズケが言った。

そうなのである。

違いと言えば、退職金の受け取り年齢が60歳から65歳になることくらいだとマスヲは思っている。

しかし、それがどのように影響があるのかよくわからないでいた。

60歳で退職金を受け取ってローンを返済する予定もなく、「豪華客船で行く世界一周クルーズ」の予定もない。

「困るよね、もらえると思ってたものがもらえないと」

ノリズケには無難な返事をした。

とにかく波風を立てず、大勢の意見に寄り添うのがマスヲの処世術だ。

「そう思うでしょ?退職金を遅く受け取るメリットをご存じですか?」

だんだん、マスヲさんの性格が悪くなっている気もしますが、すみませんでした。

前回検証したように、公務員の場合、退職金が多いため、iDeCoの3つの税優遇のうちの1つ、受け取り時の退職所得控除がなくなる可能性が高いことがわかりました。

物語の中でも語られているように、概算見積でiDeCoで550万円受け取れるとしたら、税金で50万円くらい持っていかれるとのことでした。

マスヲさんが50万円のことをくよくよ考えていると、ノリズケさんがやって来て地方公務員の定年延長と退職金の5年ルールについてマスヲさんの意見を伺ってました。

では、地方公務員の定年延長と退職金の5年ルールとは何なのか?

その2つがiDeCoの受け取りにどのように関係してくるのでしょうか?

地方公務員の定年延長

令和4年度からの国家公務員の定年引上げ(令和2年通常国会に法案提出)に伴い、地方公務員の定年も60歳から65歳まで2年に1歳ずつ段階的に引き上げられることを踏まえ、地方公務員についても国家公務員と同様に以下の措置を講ずる。

(略)

給与に関する措置
○ 国家公務員の給与及び退職手当について以下の措置が講じられることを踏まえ、地方公務員についても、均衡の原則(地方公務員法第24条)に基づき、条例において必要な措置を講ずるよう要請する。
・ 当分の間、60歳を超える職員の給料月額は、60歳前の7割水準に設定する。
・ 60歳に達した日以後に、定年前の退職を選択した職員が不利にならないよう、当分の間、「定年」を理由とする退職と同様に退職手当を算定する。

(出典:地方公務員法の一部を改正する法律案の概要

令和4年から地方公務員の定年の年齢が2年に1歳ずつ引き上げられ、最終的には65歳が定年年齢になります。

役職定年制(60歳を過ぎたら管理職から外す制度)の導入なども気になりますが、ここは退職金(退職手当)に焦点を絞りましょう。

定年延長により退職金は何が変わるのでしょうか?

退職金は減るのか?増えるのか?

定年延長で退職金が減ってしまうんじゃないか?

ここが一番気になるポイントですね。

役職定年制の導入によって、部長だった人も60歳を過ぎたらヒラに格下げされるなんてこともあるわけで、格下げされたら、給料は7割以下にするよう規定されています。

「ほら!給料が減るんだから、退職金も減ってしまうんじゃないの?」というマスヲさんの声が聞こえてきそうですね。

結論から言いますと、現状の制度設計だと退職金は減らないです。

退職金が減ってしまうなら、みんな60歳で早期退職しちゃいますからね。

定年延長は労働人口の確保が目的なので、早期退職するような制度では元も子もなくなってしまいます。

むしろ退職金は増えます。

まずは退職金の算出方法を抑えていきましょう。

退職金の算出方法

地方公務員の退職金も国家公務員に準じて算出されますので、人事院のサイト(退職手当の支給)を参考にご説明します。

まず、

退職金=基本額(退職日の俸給月額×退職理由別・勤続年数別支給割合)+調整額

こちらの算定式がベースになります。

基本額と調整額を足し合わせたものが退職金になるということですね。

基本額と調整額はそれぞれ算出の方法が違います。

説明します。

基本額

先に引用したカッコ内が基本額の要素ですね。

退職日の俸給月額×退職理由別・勤続年数別支給割合

分解すると、

  1. 退職日の棒級月額
  2. 退職理由別・勤続年数別支給割合

この2つの要素をかけただけということがわかります。

2.退職理由別・勤続年数別支給割合

退職日の給料に支給割合という割合をかけます。

この支給割合は2つの要素から決まります。

2種類の要素というのが

  • 退職理由
  • 勤務年数

この2つです。

人事院のサイト(退職手当の計算例)の「国家公務員退職手当支給割合一覧」という表を引見てみましょう。

f:id:kkkaikei:20210714054326p:plain

国家公務員退職手当支給割合一覧(「人事院|退職手当の計算」より引用)

一番左の列が勤続年数ですね。

一番上の行が退職理由になります。

表の見方としては、勤続年数と退職理由が交差するマスがその支給率を示しています。

例えば、退職理由が「自己都合」で勤続年数が「10年」の人の支給割合は5.022だということがこの表からわかります。

この人の給料の月額が20万円だったとしたら、

20万円×5.022=100万4,400円

が退職金の基本額になります。

なお、退職理由が「自己都合」の場合が最も割合が低く、「定年」が高く設定されています。

なお、同じ「定年」でも、11年未満、11年以上25年未満、25年以上と年数により区分されています。

同じ月額で同じ勤続年数でも退職理由によって退職金の額は異なってきます。

例えば、

  • 月額:50万円
  • 勤続年数:30年

で、支給割合は退職理由が

  • 自己都合なら34.7355
  • 定年退職なら40.80375

になります。

退職金額(基本額)を算出すると

  • 自己都合:50万円×34.7355=1,736万7750円
  • 定年退職:50万円×40.80375=2,040万1,875円

になります。

1.退職日の棒級月額

こちらはわかりやすいと思います。

諸手当を含まない基本給という理解でいいと思います。

でもこれが問題ですよね。

役職定年制では、60歳を超えたら給料が7割になると先ほど説明したばかりです。

「やっぱり退職金減るじゃん!」

と思っちゃいますが、安心してください。

救済措置があります。

先に参考として挙げた人事院のサイト(退職手当の支給)の

(4) 基本額の特例

イ  俸給月額の減額改定以外の理由により俸給月額が減額されたことがある場合の特例(退手法第5条の2)

こちらに該当します。

引用します。

在職期間中に、俸給月額の減額改定(いわゆるベースダウン)以外の理由(降格、 俸給表間異動等)により俸給月額が減額されたことがある場合で、特定減額前俸給月額(減額日における当該理由による減額がなかったものとした場合の俸給月額のうち最も多いもの)が退職日の俸給月額よりも多いときは、次の(ア)及び(イ)により算出した額の合計額を基本額とする特例があります。

(ア)特定減額前俸給月額に係る減額日の前日に実際の退職理由と同じ理由で退職したものとし、かつ、同日までの勤続期間と特定減額前俸給月額を基礎として算定した基本額に相当する額

(イ)退職日俸給月額に次の(A)の割合から(B)の割合を控除した支給割合を乗じて得た額

(A)退職日に、退職日までの勤続期間と退職日俸給月額を基礎として退職手当を算定した場合の支給割合
(B)(ア)の算定に用いた支給割合

ちょっと難しいですね。

大筋を言います。

給料が減額された特定の場合には、退職金の基本額を通常でない特例的な計算をします。

給料が減額された特定の場合ってどんな場合かと言うと、いわゆるベースダウン以外の場合です。

ベースダウンというのは、物価が下がったので全体的に給料を減額することですね。

ベースダウン以外の場合には、降格なんかも含まれます。

定年延長で給料が7割になった場合もベースダウンとは違いますので、この特例に含まれると思います。

どのような計算をするのかですが、簡単に言うと2段階にわけて退職金基本額を算出します。(減額前の給料の方が高いままであることが前提になります。)

(1段階目)給料が減額されるまでで、いったん算出

(2段階目)減額後は減額後で算出

具体例で考えてみよう

以下のような条件だった場合を考えてみましょう。

  • 定年延長により60歳定年の予定が65歳の定年になった。
  • 60歳時点で勤続年数が30年
  • 60歳時点の給料は50万円、65歳退職時は35万円

まず、給料が減額される前(60歳)の退職金基本額を算出します。

勤続年数30年で退職理由が定年ですので、支給割合は「国家公務員退職手当支給割合一覧」から40.80375とわかります。

退職金基本額は、支給率に給料月額をかけるので算出式は下のとおりです。

50万円×40.80375=2,040万1,875円

これに給料減額後は減額後で算出してこれに足します。

減額後は60〜65歳なので勤続年数は5年になります。

退職理由は定年ですので、「国家公務員退職手当支給割合一覧」に照らすと支給割合は、4.185とわかります。

したがって減額後の退職金基本額は、

35万円×4.185=146万4,750円

となります。

合計で約2,186万円になりますね。

定年延長前と同じ60歳までの退職金基本額に延長後の5年分の退職金基本額が足されたというイメージですね。

調整額とは?

先に

退職金=基本額+調整額

とご紹介しました。

基本額については上述したとおりです。

では、調整額とは何でしょう?

人事院のサイトから引用します。

調整額は、在職期間中の貢献度に応じた加算額であり、基礎在職期間(退手法第5条の2第2項にある「基礎在職期間」)初日の属する月から末日の属する月までの各月毎に、当該各月にその者が属していた職員の区分(第1号区分~第11号区分)に応じて定める額(調整月額)のうち、その額が多いものから60月分の調整月額を合計した額です。

【退職手当の調整額区分表(給与法適用職員の例)】

区分1 -  指定職(6号俸以上)、これに相当する職員     95,400円 
区分2 -  指定職(5号俸以下)、これに相当する職員     78,750円
区分3 -  行(一)10級、これに相当する職員                70,400円
区分4 -  行(一) 9級、これに相当する職員                65,000円
区分5 -  行(一) 8級、これに相当する職員                59,550円
区分6 -  行(一) 7級、これに相当する職員                54,150円
区分7 -  行(一) 6級、これに相当する職員                43,350円
区分8 -  行(一) 5級、これに相当する職員                32,500円 
区分9 -  行(一) 4級、これに相当する職員                27,100円
区分10- 行(一) 3級、これに相当する職員                21,700円
区分11- その他の職員(非常勤職員を含む。)                      0円

(出典:退職手当の支給

給与の級というのは、ほぼほぼ役職を表しています。

国家公務員給与の実態~ 令和2年国家公務員給与等実態調査の結果概要 ~」の「⑦ 行政職俸給表(一)の級別人員構成比」を見ると、10~9級は、本府省の課長に該当します。

8~7級なら室長、6~5級なら課長補佐、4~3級なら係長、2~1級なら係員といった具合です。

調整額はこういった役職によって加算される金額になります。

例えば、定年したとして、5級であった期間が3年間、4球であった期間が2年間あったとしたら、

32,500円×36月=1,170,000円

27,100円×24月=650,400円

合計182万400円が調整額として退職金に加算されます。

なお、調整額の対象となるのは、勤務期間の中で金額が最大となる60月です。

なので、給料が減額されても、調整額に変わりはありません。

 

ではまた次回この続きをお話ししたいと思います。

本日はお疲れさまでした。

【レビュー】NODA・MAP第24回公演「フェイクスピア」

www.nodamap.com

観に行ってきました、「フェイクスピア」。

素晴らしかった。

この舞台を観れてよかった。

レビュー

私の当初の予想としては、野田秀樹と言えば「贋作 桜の森の満開の下」や「贋作 罪と罰」など、名作をモチーフにした作品がいくつかあるので(野田秀樹剽窃と言ってました。)、「フェイクスピア」も同様にシェイクスピアの名作を下敷きにした作品だろうとタカをくくっていました。

が、違いました。

モチーフとしてのシェイクスピアは随所に出ていましたが、さまざまな言葉遊びが出てきましたが、それらのコトバはフェイクで、かつそれらのコトバは最後の一場面へと収斂されていきました。

引用します。

f:id:kkkaikei:20210717085500p:image

(出典:INTRODUCTION | フェイクスピア | NODA・MAP 第24回公演

この「コトバの一群」が何なのかは、ネタバレになるので言いませんが、ここにも書かれているとおり、

この芝居『フェイクスピア』の最後は、そのコトバの一群の引用で終わる。

この芝居の最後の場面は引用なんです。

結局これが全てでした。

野田秀樹は、30年間やっていいかいけないか逡巡した末に、「コトバの一群」を舞台に載せました。

この「コトバの一群」の場面に至るまでに、多くのシェイクスピアの引用や言葉遊び、メタファーが散りばめられています。

それらは、この「コトバの一群」の場面に出会ったとき、私たちの頭の中で有機的に結びつけられます。

バラバラにほどけていた糸が最後に紡がれます。

この「コトバの一群」に出会うまで、物語の筋は全然見えてきません。

見えないが面白い。

一体何の物語かわからないまま、芝居は疾走していきます。

そこは役者の力、演出の力で芝居は運ばれます。

高橋一生の演技力と美しさ。

いやマジで美しいね。

顔もスタイルも声も美しいというのは、神様が与えすぎてますね。

橋爪功白石加代子の堂々たる演技。

舞台に立っているのが当然かのように、舞台上であんなに自然に呼吸ができるものですか?

村岡希美は、パンフレットに野田秀樹が「村岡希美はもっと評価されていい」と書いてあったが、そのとおり。

もっともっともっと評価されていいと思います。

野田秀樹は舞台でやりたい放題。

高橋一生が笑ってしまって芝居が止まってしまうくらいやりたい放題。

観客は、役者と演出の力で疾走する芝居に魅了されながら、暗い森の中に放り込まれて、物語がよく見えないまま、迷走します。

でも走っているのが楽しすぎて、「出口がなくったっていいか、野田秀樹だし」なんて呑気なことを思っていたら、一気に手繰り寄せられて絡め取られた、そんな気分になります。

『新潮 2021年7月号』に「フェイクスピア」の戯曲が掲載されているので買って読みましたよ。

舞台で聞いた台詞を聞いた端から忘れていく私のような忘却魔人には、戯曲のような目に見えるコトバはありがたい。

一番大切なものは目には見えないとしても。

この台詞!このモチーフ!!このメタファー!!!

発見しかないですよ。

発見のたびに心臓がキュッとつままれる思いです。

あらゆるフェイクが、あらゆるコトバが「コトバの一群」に関連していくのです。

戯曲読んだらもう一回舞台を観たくなりました。

そんなお芝居です。

映画でも小説でもマンガでもラジオでもこんな物語ありません。

芝居でしかできない物語です。

公演情報

NODA・MAP第24回公演『フェイクスピア』
 

■作・演出:野田秀樹
 
■出演:高橋一生 / 川平慈英 伊原剛志 前田敦子 村岡希美 / 白石加代子 野田秀樹 橋爪功
 
■STAFF:
美術:堀尾幸男  照明:服部基  衣裳:ひびのこづえ
音楽・効果:原摩利彦  音響:藤本純子  振付:井手茂太
ヘアメイク:赤松絵利  舞台監督:瀬﨑将孝  プロデューサー:鈴木弘之 
 
■公演日程・会場:
<東京公演> 2021年5月24日(月)~7月11日(日) 東京芸術劇場プレイハウス
<大阪公演> 2021年7月15日(木)~7月25日(日) 新歌舞伎座
 

【レビュー】大阪歴史博物館「あやしい絵展」

ayashiie2021.jp

先日、大阪歴史博物館「あやしい絵展」を見に行きましたので、その感想を綴りたいと思います。

1.展覧会の主旨

「あやしい」という言葉には、妖しい、怪しい、奇しいなど、さまざまな漢字を当てはめることができます。

いずれにも共通するのが、いわゆる「キレイ」「見ていて心地よい」とは少し違う、神秘的で不可思議、奇怪な様子を表していることです。

グロテスク、エロティック、退廃的、神秘的、ミステリアス・・・

そういった「美しい」だけでは括ることのできない魅力を持つ作品を、本展では「あやしい絵」としてご紹介します。

 (出典:あやしい絵展 公式ホームページ

展覧会の主旨自体がもう「あやしい」ですね。

タイトルからすると軽薄な展覧会のような印象を受けました。

でも違いました。

デパートでよく行われる入場無料の某キャラクターの展覧会で、結局物販が目的のものと同質の展覧会かと当初こそ思いましたが、全然違いました!

むしろ硬派な学問的に王道の展覧会で、とても満足のゆく展示でした。

江戸時代末から大正時代にかけて「あやしい」絵って結構残ってる印象がありましたね。

例えば「グロい」作品ってこの時代に割とウケてたようです。

岩佐又兵衛なんかも江戸時代末ごろではなかったでしょうか。

この時代に限らずグロいものはウケてるような気もしますが。

また、展覧会中に触れているように、女性像についても、ただ美しいだけの女性像から、怖い女性など生々しい女性像が描かれるようになり、その背景にも言及されています。

2.展示作品

浮世絵

月岡芳年などグロい浮世絵が堪能できます!

浮世絵のすぐ上にガラスかアクリルかのカバーをかけただけの展示なので、圧倒的に作品が近いです。

こんなに間近に浮世絵を見たことないです。

浮世絵は江戸時代の庶民が手に取って鑑賞した作品ですので、その感覚に近いでしょう。

多色刷りの技術を思い切り目の当たりにしましたね。

月岡芳年の作品は、まあ血が流れるんですが、血の流れ具合がリアル。

版画でこんなに表現できるなんて、ただならぬ技術です。

ゴッホが浮世絵に影響を受けたというのもむべなるかなという感じです。

挿絵、出版美術

挿絵などの出版美術の展示も多数ありました。

こういった王道の展覧会では、出版美術がメインに来ることは少ないですが、この展覧会では多く出品され、じっくり鑑賞するができました。

藤島武二って、与謝野晶子『みだれ髪』の表紙を手がけていたんですね!

知りませんでした。

大正時代のデザインてめちゃくちゃキュートですよ。

ぜひたくさんの人に見てほしいです。

鏑木清方上村松園、北野恒富

この作家に代表される大正時代の日本画は、個人的に甘ったるい感じがして苦手だったんです。

実際見たらとても良かったです!

図版の写真を見ただけで判断してはいけませんね。

和洋折衷というか、和と洋がせめぎ合って昇華して作品に表れてると言いますか、時代が反映されているようで、他の時代には見られない表現でした。

少し戻れば江戸時代、少し進めば西洋寄りという感じで、ちょうどその間のちょうどいい感じです。

中でも、鏑木清方「妖北野恒富「道行」が個人的お気に入りです。

3.まとめ

私が行ったのは大阪歴史博物館だったので、歴史博物館では美術の展示は弱いと思ってましたが、そんなことはありませんでした。

それもそのはずで、もともと東京国立近代美術館の企画の展覧会だったんですね。

義務教育の日本史でもそうですが、美術史で明治以降ってあまり取り扱わないんですよね。

明治以降は今につながって生々しいためか、それとも今の教育が明治を発端にしているので、それ以前を取り扱うものとしているためか、定かではありませんが。

何にせよ、ちょっと避けていた時代の少し片隅に残っていたものたちに焦点が当てられていて興味深かったです。

私の大正時代の日本画の苦手意識も覆ったので、とても良い展覧会と思いました。

【徹底検証!】地方公務員はiDeCoに加入すべきか?本当にメリットありますか?その3【地方公務員はiDeCoのメリットを享受できるか?】

地方公務員がiDeCoに加入すべきか否かを検討します。

大まかな流れは下記のとおりです。

  1. iDeCoとは?
  2. iDeCoのメリット・デメリット
  3. 地方公務員はiDeCoのメリットを享受できるか?
  4. 地方公務員の定年延長でiDeCoのメリットが受けられるのか?

本日の記事では、上の3について解説していきたいと思います。

◆過去記事

3.地方公務員はiDeCoのメリットを享受できるか?

平凡な地方公務員のマスヲは「老後2,000万円問題」に頭を悩ませていたが、iDeCoによりその問題は解決、もしくは軽減される希望を見出した。

すでにiDeCoを始めている同僚アナゴくんに詳しい話も聞いた。

iDeCoは国が推し進めている個人型の年金制度だ。

詐欺まがいのアヤシイ話ではない。

何と言っても税金が安くなるのだ。

マスヲは普段税金のことなどビタイチ考えたことがなかった。

給料明細を見ればいくらか税金で引かれているのは知っていたが、見たところでどうにかなるものではないし、興味がなかった。

年末調整で保険料を申告するのも手間に思っていた。

そんなもの申告して何になるのか、そこまで考えを巡らすことがなかった。

アナゴくんからiDeCo所得税控除の対象だと聞いたときも、年末調整の面倒が増えるのを思って億劫に感じたくらいだ。

しかし、アナゴくんの話を聞いて少し態度を改めた。

アナゴくんは丁寧に具体的な数字で教えてくれた。

公務員のiDeCoの上限は12,000円、これを12か月で年間144,000円。

マスヲの場合、この3割が税金から差し引かれると言う。

すなわち、144,000円×0.3=43,200円 お得であると言うのである。

マスヲは43,200円を嚙み締めた。

43,200円あれば何ができるだろう?

妻と就学前の息子と3人で小旅行ぐらい行けるんじゃないか。

そういえば妻が洗濯機の調子が悪いというので家電量販店に見に行ったが、10万円以上はざらで、ドラム式なら普通に20万を超えてくる。

どうも物価が値上がりしているような気がする。

マスヲは地方公務員である。

雇用が安定していることはありがたいと思っているが、給料は民間の平均かそれ以下だ。

悲しいが給料が急激に上がる見込みはない。

「老後に備えて2,000万円くらい貯めといてね」と言われても、逆さに振ったって1円も出ないのだ。

なのでこの43,200円もの金が浮くのは天啓に感じていた。

「老後資金も確保しながら、税金も抑えらるなんて最高やん!」

東京に越してから控えていた関西弁が出るくらいマスヲの心は踊っていた。

早速、アナゴくんが勧めてくれたネット証券にアカウントを作成し、iDeCoの資料を請求した。

数日後、そのネット証券から前面に堂々と「iDeCoのご案内」と印刷された角2封筒が届いた。

「マスヲくん」

声をかけられた。

同居している妻の父、つまり義父のナミペイだ。

「それはiDeCoかね?」

「はい、今少し検討してまして……」

マスヲはやる気満々であったが、それを明言するのは避けた。

妻の了承は得ておらず家庭内の合意形成がまだだったからだ。

同居はしているが義父とは家計は別なので何ら口出しされる理由はないはずだが、ナミペイも地方公務員である。

自分がiDeCoを始めることにより、ナミペイの家計にも影響が出るかもしれない。

とにかく波風を立てないことが保身につながる。

マスヲには、そういった地方公務員としての「正しいあり方」が身についていた。

iDeCoのことは調べたのかね?」

「ええ、同僚のアナゴくんがやってましてね、詳しく教えてくれたんですよ」

「受け取り方についても?」

「退職所得控除のことですか?」

マスヲはドヤ顔で答えた。

俺は知っている。

この年寄りよりも情報通だ、情報強者だ、マスヲのそんな驕りの切れ端がわずかに漏れ出た。

「ほう。少しは調べたようじゃな。では、退職所得控除の計算方法は知っておるのかね?」

「え?……あー、そこまでは」

「……本当にiDeCoが退職所得控除の対象になるのかね?」

ナミペイの眼鏡が光り、鼻息で髭が揺れ、口角が不敵に上がった。

 すみません、前回から引き続きマスヲさんの物語が進行しています。

奥さんのお父さんも地方公務員なんかーい!と思われた方もおられると思いますが、これが案外少なくないんですね。

公務員一家というのは珍しくなくて、職場で出会って結婚したら、相手の家族がみんな公務員というケースは割とあることなんです。

iDeCoが「本当に退職所得控除の対象になるのか?」

iDeCoの受け取り方

ナミペイさんはiDeCoの受け取り方に言及してきました。

マスヲさんもアナゴさんから話を聞いていたので、すかさず「退職所得控除のことですか?」と応答していました。

ですが、ナミペイさんから退職所得控除の計算方法は知っているかと切り返され、マスヲさんは言葉に詰まってしまいます。

さらにiDeCoが「本当に退職所得控除の対象になるのか?」とさらに追い打ちをかけられてしまいました。

前回ご説明したとおり、iDeCoには受け取り方が以下の3パターンがありました。

  1. 定期的に受け取る(年金)
  2. 一括で受け取る(一時金)
  3. 1.と2.を組み合わせて受け取る

このうち、2.一括で受け取る方法が退職金のような受け取り方で、退職所得控除の対象になるとご紹介しました。

また、退職所得控除は控除額が大きいとも説明しました。

(話が煩雑になるのを避けるため、これからはiDeCoの受け取りを一時金で受け取ることを前提として話を進めます。)

では、ナミペイさんがおっしゃる退職所得控除の計算とはどのようなものなんでしょうか?

退職所得控除の計算方法

国税庁のサイトから引用します。

 退職所得の金額は、原則として、次のように計算します。
(収入金額(源泉徴収される前の金額) - 退職所得控除額) × 1 / 2 = 退職所得の金額

(略)

退職所得控除額の計算の表

勤続年数(=A) 退職所得控除額
20年以下 40万円 × A
(80万円に満たない場合には、80万円)
20年超 800万円 + 70万円 × (A - 20年)

(略) 

(例)

  1. 1 勤続年数が10年2ヶ月の人の場合の退職所得控除額
    勤続年数は11年になります。
    (端数の2ヶ月は1年に切上げ)
    40万円×(勤続年数)=40万円×11年=440万円
  2. 2 勤続年数が30年の人の場合の退職所得控除額
    800万円+70万円×(勤続年数-20年)=800万円+70万円×10年=1,500万円

  (出典:No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)|国税庁

例えば、マスヲさんが「退職所得控除」で検索して、一番にヒットしたのが国税庁のこんなページで、がんばって読み始めたところで、すぐには理解できませんよね。

まずわかりにくいのはこの式ですね。

(収入金額(源泉徴収される前の金額) - 退職所得控除額) × 1 / 2 = 退職所得の金額

カッコから先に計算するというルールは小学校で習いました。

この式にはカッコの中にまたカッコがあります。

収入金額(源泉徴収される前の金額)

この部分ですね。

これは単なる言い換えなのでカッコ内は省略しますね。

(収入金額 - 退職所得控除額) × 1 / 2 = 退職所得の金額

「収入金額」は、要するに退職金やiDeCoを一括で受け取ったときの金額のことです。

「退職所得控除額」については後述します。

で、収入金額から退職所得控除額を差し引いて半分にした額が、「退職所得の金額」と言ってますね。

この式は「退職所得の金額」を求める式だったんですね。

「退職所得の金額って何ですか?」というマスヲさんの声が聞こえそうです。

「僕が知りたいのは税額なんです。退職金からどれだけ税金で持って行かれるのかが知りたいんです。」

という声も聞こえてきそうですね。

税額を算出するには、「退職所得の金額」に税率をかけて控除額を引きます。

税率や控除額は「退職所得の金額」に応じて数字が変わります。

その税額表が下記のとおりです。

令和2年分所得税の税額表〔求める税額=A×B-C〕

A 課税退職所得金額 B 税率 C 控除額
1,000円から1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円から3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円から6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円から8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円から17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円から39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円以上 45% 4,796,000円

 (出典:退職金と税|国税庁

具体例を挙げて当てはめてみましょう。

  • マスヲさんが60歳になって退職金1,000万円受け取ったとします。
  • 退職所得控除額が400万円だったとします。
  • この場合、退職所得の金額は
    (1,000万円-400万円)× 1/2 =300万円
  • 税額表より、税率10% 控除額97,500円なので、
    所得税額=300万円×10%-97,500円=202,500円
  • 住民税が10%ととするとは
    住民税額=300万円×10%=300,000円
  • 税額合計502,500円

こんな感じですね。

次に「退職所得控除額」です。

こちらは勤続年数で決まります。

勤続年数が1年につき、40万円が控除されます。

勤続年数が20年を超えた分については控除額が増額して70万円になります。

このことを示しているのが、先に引用した「退職所得控除額の計算の表」ですね。

例えば、勤続年数が10年であれば、

  • 退職所得控除額=40万円×10年=400万円

となります。

次に、勤続年数が多い場合、例えば大卒で22歳から60歳まで38年勤務した場合を考えてみましょう。

  • 退職所得控除額=800万円+70万円×18年=2,060万円

このとき退職金が1,000万円だったら、

  • 退職所得の金額=(1,000万円-2,060万円)× 1/2 =-1,060万円???

退職所得の金額がマイナスになってしまいましたね。

退職所得控除額が大きくて、収入金額(この場合、退職金)を超える場合、税金はかかりません。

新卒で入社して、その後転職せずそのまま定年を迎えるのが、税金的には非常に有利になります。

iDeCoが退職所得控除の対象にならないとは?

ナミペイさんが、「iDeCoが本当に退職所得控除されるのか」とマスヲさんに問うてましたね。

iDeCoは退職所得控除の対象となるはずなのに一体どういう意味なんでしょうか?

地方公務員の退職金の平均をご存知でしょうか?

退職理由によっても退職金額は変わりますが、定年退職の平均は以下のとおりです。

◆60歳定年退職者の退職金は平均2100万円前後
では、60歳で定年退職した人だと、退職手当の平均支給額はどれくらいでしょうか。こちらも職種別に見てみましょう。( )内は最高額を支給した地方公共団体名と金額です。

都道府県(47団体)
・全職種:約2211万円(静岡県:約2295万円)
・一般職員:約2160万円(静岡県:約2293万円)
・一般職員のうち一般行政職:約2165万円(静岡県:約2349万円)
・教育公務員:約2237万円(三重県:約2319万円)
・警察職:約2202万円(東京都:約2306万円)

●指定都市(20団体)
・全職種:約2163万円(堺市:2232万円)
・一般職員:約2107万円(千葉市:2203万円)
・一般職員のうち一般行政職:約2247万円(さいたま市:2439万円)
・教育公務員:約2243万円(名古屋市:約2362万円)

●市区町村
・全職種(1248団体):約2016万円(千葉県大網白里市:2480万円)
・一般職員(1235団体):約2016万円(千葉県大網白里市:2480万円)
・一般職員のうち一般行政職(1059団体):約2160万円(東京都羽村市:2630万円)
・教育公務員(37団体):約2147万円(兵庫県姫路市:2494万円)

(出典:地方公務員の退職金、平均でいくら? | マイナビニュース

自治体によって上下はするでしょうが、平均は2,100万円前後と書かれています。

先の例にも挙げた「大卒で現役で入社して、その後転職せずそのまま定年を迎えた場合」、つまり勤務年数38年で退職所得控除額は2,060万円でした。

2,100万円の退職金を受け取ったら、その時点で退職所得控除額を超えてしまうんですね。

さらにiDeCoで500万円受け取ったとしても退職所得控除の枠はすでに使い切っています。

退職金が1,000万円の場合と比較してみましょう。

共通の条件はこちらです。

  • iDeCoを一括で550万円受け取る。
  • 勤務年数は38年。
  • 税額は税額表から算出する。
退職金 2,100万円 1,000万円
iDeCo 550万円 550万円
退職所得控除額 2,060万円 2,060万円
退職所得の金額 295万円 0
所得税 10% -
控除額 97,500円 -
所得税 197,500円 0
住民税税率 10% 0
住民税額 295,000円 0
税額 492,500円 0

約50万円の差がつきました^^

iDeCoの一括受取が550万円というのは、公務員の上限である毎月1万2,000円を30年間積み立てて年5%で運用した場合の概算金額です。

一方、民間の場合、iDeCoの掛金の上限は2万3,000円になります。

退職金1,000万円のケースは民間を想定していますので、iDeCoの運用条件を下記のとおりとした場合、受取額は約1,055万円になります。

  • 掛金2万3,000円/月
  • 運用期間30年
  • 年率5%

iDeCoの受取額が1,055万円であったとしても、

退職所得の金額=1,000万円+1,055万円=2,055万円

なので、退職所得控除額2,060万円を下回ります。

iDeCoの受取額が1,000万円を超えても税金が0円なんですね。

言いたいことは、それくらい退職所得控除は大きいものだということです。

一般的に「iDeCoの受け取りのときは、退職所得控除が受けられます」というのは、こういった民間のケースを想定しているのであって、地方公務員の場合には当てはまらないことが多いと言えます。

iDeCoの3つの税優遇のうち1つが受けられない

iDeCoのメリットである税優遇は3つありました。

  • 掛金の所得控除
  • 運用益が非課税
  • 受取時の退職所得控除

地方公務員の場合、このうちのひとつ「受取時の退職所得控除」が受けられない人が多そうだということをこれまで検証してきました。

退職金だけで退職所得控除を超えてしまっているので、さらにiDeCoを受け取っても、iDeCo分は税金を支払うことになるというのが、ナミペイさんの意図するところだったんです。

掛金のときに所得税控除、運用益で非課税と税金の優遇を受けたけど、最後の最後には退職所得として税金を支払うことになるということですね。

結局のところ、地方公務員はiDeCoに加入すべき?

iDeCoの3つのメリットのうち1つは享受できなさそうですが、2つは残っています。

メリットは薄まりましたが、加入した方がお得なんでしょうか?

冒頭の物語の中でマスヲさんは、アナゴさんに計算してもらって年間「43,200円 お得である」ということを聞いています。

これが本当なら50万円の税金は12年で取り戻せます。

実際、年間「43,200円 お得」と言うのも現実離れした数字ではありません。

アナゴさんは税金が3割と計算していましたが、3割というのはどこから来た数字なんでしょうか?

所得税の税率は、退職所得の税率を確認した税額表と同じですので、所得が3,300,000円から6,949,000円までであれば20%になります。(マスヲさんの年間所得は400~500万円程度を想定しています。)

このほかに住民税が10%かかります。

合わせて30%、この数字ですね。

iDeCoの年間の掛金144,000円が控除されるとしたら、税額でいうと144,000円の30%が差し引かれることになります。

アナゴさんが計算してくれた144,000円×0.3=43,200円という数字の根拠がこれですね。

年末調整などで保険料も控除の対象になってますが、保険料の控除額の上限って4~5万円なんですよね。

それに比べたら144,000円の控除がいかに大きいか理解していただけるかと思います。

結論としては、「退職所得控除は受けられなくても、iDeCoに加入した方がお得だ」と言うことになります。

 

ではまた次回この続きをお話ししたいと思います。

長々となりましたが、お付き合いくださいましてありがとうございました。

【徹底検証!】地方公務員はiDeCoに加入すべきか?本当にメリットありますか?その2【iDeCoとは?】

地方公務員がiDeCoに加入すべきか否かを検討します。

大まかな流れは下記のとおりです。

  1. iDeCoとは?
  2. iDeCoのメリット・デメリット
  3. 地方公務員はiDeCoのメリットを享受できるか?
  4. 地方公務員の定年延長でiDeCoのメリットが受けられるのか?

本日の記事では、上の1・2について解説していきたいと思います。

◆過去記事

1.iDeCoとは?

「老後2000万円問題」とiDeCo

あるところにマスヲという男がいました。

彼の職業は地方公務員、専業主婦の妻と就学前の子を持つ平凡な一般市民でした。

平凡で安定した人生を歩んでいるつもりでしたが、世間では「老後2,000万円問題」が話題になっていました。

どうやら老後は年金だけでは生活は難しく、2,000万円が不足するというのです。

突然定年までに2,000万円もの大金を用意せよと言われても、すぐに捻出できるものではありません。

なすすべもなく立ち尽くすマスヲに同僚のアナゴくんが言いました。

「フクタくん、僕はiDeCoを始めたよ」

iDeCo……!

聞いたことがある。

年金の何かだ。

でも、どういう仕組みかよくわからなくて、投資と聞いて怖くてそれ以上踏み込めずにいた、あれだ。

「アナゴくん、ちょっとその話詳しく……」

「フクタくん、詳しく聞きたいかい?」

すみません、急に物語が始まってしまいました^^

マスヲさんみたいな方も多いのではないかと思います。

「老後2,000万円問題」は聞いたことがあるし、不安だ。

その解決策としてiDeCoという制度があることも知っている。

でも投資と聞いて、元本割れとか怖いし、そもそも制度自体よくわかってないので、iDeCoを始める気にならない。

簡単にいうとこんな感じだと思います。

改めてiDeCoとは?

iDeCoの公式チラシからの引用です。

イデコは、自分で決めた額を積み立てながら、その掛け金を自分で運用していくことで将来、公的年金にプラスして給付を受けられる年金制度(個人型確定拠出年金)です。

(出典:iDeCoチラシ

基本的には年金なんですね。

どんな年金かというと自分で自分のためにお金を積み立てて作る年金です。

個人型確定拠出年金とカッコ書きしてありますね。

「確定拠出」は積み立てる掛金が決まってるという意味です。

こういう難しい言葉は、ひとまず省いて「個人型年金」という理解でいいと思います。

個人型年金を定期預金で作った場合とiDeCoの比較

個人型の年金ってどんなものかイメージするため、ここで定期預金で個人型年金を作ってみるとしましょう。

例えば、下記のような条件の定期預金で自分の年金を作るとします。

積立額(掛金) 1万円/月
期間 30年
利率 0.5%

年間12万円を30年間積み立てるので、利子抜きの元本が、

12万円×30=360万円

になります。

金利は、計算は省きますが、年複利で約22万4,000円になります。

よって、合計382万4,000円が未来の自分への年金となります。

iDeCoも基本的な考え方としては、定期預金で年金を作るのと同じなんですね

どこが同じかと言うと

  • 毎月一定額積み立てる
  • 長期の運用

といった点です。

個人型年金のイメージはこんなところです。

では、定期預金とiDeCoでは何が違うかと言うと下記の表のとおりです。

  定期預金 iDeCo
a.運用方法 定期預金 投資信託
b.元本保証 あり なし
c.掛金 課税される 所得控除あり
d.運用益 課税される(利子所得) 非課税
e.受取時 課税されない 所得控除対象
f.運用期間 10年以内が多い 早くて60歳まで
g.解約 中途解約は利率が変わる 原則解約できない

ひとつずつ見ていきますが、先に結論を言いますと、定期預金とiDeCoの違いは、税優遇、これに限ります。

a.運用方法

定期預金は定期預金ですね^ ^

何も説明していませんが、ご理解いただけると思います。

iDeCoの方は投資信託としています。

iDeCo=投資

というイメージは強いですが、iDeCoの運用方法で定期預金を選択することもできます。

b.元本保証

定期預金はもちろん元本保証されます。

iDeCoの場合、投資信託で運用すれば当然元本保証はされません。

ですが、iDeCoでも定期預金で運用すれば元本保証されます。

c.掛金

iDeCoであれば所得控除されます。

所得控除と聞くと、「あれか、年末調整のときの保険のやつ」くらいのイメージで、「そもそも控除って何よ?」って方も多いと思います。

所得控除というのは、その分税金がかからないという感じです。

具体例を挙げてざっくり説明します。

例えば、アナゴさんの年間所得が300万円だったとします。

所得税率が10%だったとします。

  1. このまま所得控除が何もなければ、所得税は、
    300万円×10%=30万円
    になります。
  2. アナゴさんのiDeCoの掛金が年間12万円だとすれば、この1万円は所得控除になるので、所得税は、
    (300万円-12万円)×10%=28万8,000円
    になります。

12万円が所得控除になれば、12万円×税率分の税金が減額されるということです。

税額の差は1万2,000円ですね。

どうですか?

1万2,000円は大きいですか?小さいですか?

例に出したアナゴさんの場合、税率が10%なので税金が1割引きになっています。

年間所得が400万円だと所得税率は20%になりますので、2割引きになります。

同じ年間12万円の掛金でも2万4,000円お得になるというわけですね。

さらに言うと住民税も減額になります。

住民税は各自治体にもよりますが、大体のところで税率は10%です。

なのでさらに1万2,000円お得になるというわけですね。

iDeCoの場合、国が推し進めてるので、掛金が所得控除の対象になるという税優遇措置があります。
ですが、定期預金は、自分の得た所得の中から勝手に預金に回しているだけなので、所得控除にはなりません。
d.運用益

運用益というのは運用して得た利益のことです。

例えば、月1万円積み立てで、年5%ずつ増えて、30年続けたとします。

元本は先ほど計算したとおり360万円です。

運用益はいくらになるかと言うと、なんと約459万円になります。

元本を超えるんですね。

これがiDeCoなら非課税ですので、459万円から1円も税金で差し引かれることはありません。

ですが、これが一般的な株式で運用益459万円で売却したら、そのうち20%が税金で持っていかれます。

92万円くらいの税金ですね。

ざっくり459万円が367万円になります。

定期預金の利子が年5%だとしましょう。

利子所得にも所得税がかかっているのはご存じですか?

利子所得にかかる税率は、一律20.315%です。

これを考慮すると、運用益(利子の合計)は約326万円になります。

税金を差し引いた後の各運用益をまとめます。

  • iDeCo 459万円
  • 株式運用 367万円
  • 定期預金 326万円

同じ掛金で元本が同額でも、税金のあるなしでこんなに差がついてしまいます。

e.受取時

定期預金を解約するときに課税はされません。

通帳に記載されている金額がそのまま手に入ります。

iDeCoの場合はまず、受け取り方が3パターンあります。

  1. 定期的に受け取る(年金)
  2. 一括で受け取る(一時金)
  3. 1.と2.を組み合わせて受け取る

1.は公的年金と同じような受け取り方ですね。

2.はいわば退職金ですね。

3.は一部退職金として受け取って、残りは年金のように分割で受け取るというイメージですね。

いずれの受け取り方がにしても、課税されないか減税される優遇措置があります。

特に退職所得控除は通常より控除額が大きいので、一括受け取りの方をおすすめされることが多いと思います。

ただし、退職金の額や公的年金の額、勤務年数によっては税優遇の措置が受けられないことがあります。

税優遇が受けられない方がレアだと思いますので、今は詳しくは触れません。

が、地方公務員はこのレアなケースに当てはまるかもしれません。

詳細は後日に譲りますね。

お楽しみに!

f.運用期間

定期預金は任意の期間が設定できます。

自分で自由に決められるってことですね。

自由と言っても大体10年以内が多いようです。

iDeCoは60〜75歳にならないと受け取れません。

iDeCoを始めた年齢から早くて60歳まで、遅くとも75歳までが運用期間になります。

g.解約

定期預金の場合、満期になる前に解約した場合(中途解約)、定期預金の利率が適用されることは少ないようです。

定期預金は、普通預金よりも有利な利率が設定されているものですが、中途解約すると不利な利率で再計算されるというわけですね。

定期預金のうまみがなくなってしまいます。

他にも解約手数料を取られるかもしれませんが、その辺りは金融機関によります。

iDeCoの場合は、60歳まで原則解約できません。

解約はよほどの条件をクリアしないとできません。

一度始めたら解約できないと考えた方がいいです。

ただ、掛金を減らすのはできるので、途中で仕事を辞めたとかで支払いが厳しくなったら掛金を0にすることはできます。

今まで積み立てた分を取り崩すのは難しいと考えましょう。

積み立てた分は何がなんでも60歳までホールド(保持)し続けないといけません。

いわゆる鬼ホールドですね。

資金拘束が強いとも言います。

 

2.iDeCoのメリット・デメリット

iDeCoのメリットやデメリットを検索すれば、たくさん情報が出てくると思います。

iDeCoのデメリットと言えば、

  • 元本割れ
  • 鬼ホールド
  • 各種手数料がかかること

です。

元本割れと鬼ホールドについては、上記で説明しました。

手数料についてはまだ言ってなかったですが、こちらについてはネット証券を利用すればかなり抑えられるものです。

メリットは、税優遇ですね。

こちらも上記で説明したとおりです。

では、もし税優遇が受けられなかったらどうでしょう?

iDeCoにする理由がなくなってしまいますね。

 

次回はこの辺りのことについてお話ししたいと思っています。

長々となりましたが、お付き合いいただきありがとうございました。

 (金利や運用益の計算は、積立計算(複利毎課税) - 高精度計算サイトを参考にしました。)