【ポイント整理】なぜか廃止が決まったら人気が上がったジュニアNISA【まだ間に合う】
なぜか廃止が決まったら人気が上がったジュニアNISA
こんな記事がありました。
これらの記事によると、2023年度12月末にジュニアNISAの制度が廃止されることが決定されましたが、廃止が決定してから利用者数や投資額が増えたとのことです。
不人気で廃止することになったのに、なぜ廃止が決まってから人気が上がったのでしょうか?
廃止に伴って使い勝手のいい制度に生まれ変わったと言われています。
利用価値があるのなら、使わないと損です。
廃止が2023年で、今から口座開設しても3年間利用できますので、まだ間に合います。
ポイントを整理して解説したいと思います。
ジュニアNISAの概要
ジュニアNISAって何だろう?
そもそもNISAって何ですか?というところから、ざっくりと説明します。
株などに投資した場合、株価が上がって売却すると利益が出ます。
この利益(譲渡益)には通常20%の税率で税金が取られます。
また、株を持っているだけで、その株の会社から配当金というお金がもらえます。
この配当金にも20%の税金が課せられます。
この税金がかからないように非課税にする制度がNISAです。
ただし、上限額や期間の制限があります。
NISAには一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAと3種類ありますが、ジュニアNISAの条件については下記のとおりです。
利用できる方 日本にお住まいの0歳~19歳の方(口座を開設する年の1月1日現在) 非課税対象 株式・投資信託等への投資から得られる配当金・分配金や譲渡益 口座開設可能数 1人1口座 非課税投資枠 新規投資額で毎年80万円が上限(*1) 非課税期間 最長5年間(*2) 投資可能期間 2016年~2023年(*3) 運用管理者 口座開設者本人(未成年者)の二親等以内の親族(両親・祖父母等)(*4) 払出し 18歳までは払出し制限あり。(*5)
(出典:ジュニアNISAの概要 : 金融庁)
注目は、「利用できる方」と「運用管理者」という欄です。
- 「利用できる方」=口座名義人
- 「運用管理者」=株式や投資信託などの運用をする人
という認識でいいでしょう。
上の表を見ると「利用できる方」は未成年で、「運用管理者」は口座開設者の両親・祖父母等となっています。
要するに、子供の名義で親などが運用することが想定されています。
ジュニアNISAの目的
ジュニアNISAを利用するとして、何を目的に資産形成していくのでしょうか?
金融庁のHPでは下記の2つの目的が挙げられています。
- 進学や就職に向けての準備金
- 投資教育
実際の運用目的としては、教育資金の確保が多いと思います。
子どもの大学受験の費用や授業料など数百万で済めば安い方で何千万とかかることもあります。
私たちはこの他に老後資金も貯めないといけませんので、教育資金の確保は大きな負担になっています。
この負担を支援するため、非課税でお得に貯蓄できる制度がジュニアNISAということです。
ジュニアNISAが不人気で廃止が決定した理由
子どものいる家庭では、ほぼ間違いなく教育資金が必要になります。
教育資金を非課税で貯蓄できるなんて、ジュニアNISAはステキでお得な制度だと思いませんか?
こんなステキでお得な制度が、なぜ不人気で廃止が決まってしまったんでしょう?
ジュニアNISAには致命的な落とし穴があったからなんです。
上で引用した金融庁のHPの表の「払出し」の欄をご覧ください。
18歳までは払出し制限あり。(*5)
と書いてありますね。
(*5)も見てみましょう。
*5 …3月31日時点で18歳である年の前年12月31日までの間は、原則として払出しができません。ただし、災害等やむを得ない場合には、非課税での払出しが可能です。
子どもが18歳になるまで払出し=現金化できないと書いてあります。
この払出しの制限が不人気の理由です。
無理に払出ししたらどうなるかと言うと、
口座開設者が18歳になるまで(*1)に、ジュニアNISA口座から払出しを行う場合は、過去の利益に対して課税され、ジュニアNISA口座を廃止することになります。(*2)
(出典:ジュニアNISAの概要 : 金融庁)
非課税であったはずのものが、途中解約という扱いで、過去に遡って課税されてしまいます。
過去に遡ってということは、過去に非課税でもらった配当金にかかる税金も支払わないといけないということです。
払出し制限によるデメリットは以下のようなものが考えられます。
- 大学の受験料、入学金は払出し制限の期間かもしれない
- 子どもが私立高校に進学した場合、お金が必要なのに払出しができない
- 目標金額を設定していて運よくその目標を達成しても、払出し制限期間だと払出しできない
- 暴落することがわかっても、払出し制限期間だと何の手出しもできない(預貯金や債券はジュニアNISAの対象商品ではありません)
このような致命的なデメリットがあったので、使い勝手の悪い制度として敬遠されていたんです。
お金が必要なときに使えないとか、暴落するとわかってるのに逃げられないとか、安心して利用できないですよね。
ですが、このたび廃止が決定し、法改正され、逆に使い勝手の良い制度に生まれ変わりました。
廃止に伴う法改正により払出し制限がなくなった!
廃止になったために、払出し制限がなくなりました
これまでは、18歳になる前に途中解約した場合、遡り課税になってました。
が、ジュニアNISA自体が2023年12月になくなってしまいますので、2024年以降は「途中」解約という意味合いではなくなりました。
2024年以降に払出しするときは、18歳より以前であっても非課税のままです。
金融庁のHPから引用します。
Q25:現在、ジュニアNISAは2023年で制度が終了してしまうと聞きました。2023年の時点では、子どもはまだ18歳になっていないのですが、ジュニアNISA口座を開設した場合、2023年以降は非課税の取扱いを受けられないのでしょうか?
現在、NISA及びジュニアNISAは、2023年までの時限的な制度とされているため、非課税で投資ができるのは2023年までとなっています。
もっとも、ジュニアNISAについては、口座開設者が18歳になるまでの間、口座内の資産の払出しに制限がある一方で、2023年の時点で18歳に達しない方もいると考えられることから、2023年に制度が終了した後も、口座開設者が20歳になるまでは、ジュニアNISA口座内で購入した金融商品を非課税で持ち続けることが可能です。
(出典:ジュニアNISA Q&A : 金融庁)
「2023年に制度が終了した後も、口座開設者が20歳になるまでは、ジュニアNISA口座内で購入した金融商品を非課税で持ち続けることが可能です。」と明記されていますね。
(なお、引用の中では「20歳」と書いてありますが、民法の改正により2022年4月以降は、成人年齢が18歳になりましたので、適宜読み替える必要があります。)
つまり、ジュニアNISAの唯一であり致命的な欠陥がクリアされたのです。
これなら安心して利用できますね。
今(2021年)からでも3年間×80万円=240万円を投資できますので、条件に当てはまる方で資金に余裕のある人は一考の価値アリです。
注意点等
最後に注意点等を記しておきます。
継続管理勘定
2024年以降(=ジュニアNISA廃止以降)、ジュニアNISAで投資してから5年経つと「継続管理勘定」という口座に移管されます。
一応非課税期間が5年なので、その期間が終わったということですが、
子どもが成人した後
子どもが成人した場合、ジュニアNISA制度期間内であれば、ジュニアNISA口座から自動的にNISA口座へ移管します。
ジュニアNISAが終了している場合(2024年以降)は、「継続管理勘定」という口座に移管され、成人になるまで非課税で保有することができます。
「継続管理勘定」に移ったあとに売却しても非課税ですので安心してください。
ですが、新規の買付や商品の入れ替えは当然ながらできません。
詳しくはこちらをご参照ください。
(参照:ジュニアNISAの手続に関するQ&A (Q14)未成年者口座の開設後、非課税措置の期間(令和5年まで)が終了するまでに20歳になった場合はどうなるのですか?)
継続管理勘定移管からNISA口座に移管できるのかと言うと、結論的にはできないと思われます。
下図を見ると、
(出典:ジュニアNISAのポイント : 金融庁)
継続管理勘定から20歳になった場合、
「20歳になったら
課税口座へ払出し※3」
「※3払出し時の時価が、新たな取得価格となります。」
とありますので、継続管理勘定で持っている株等は、成人したら
- 課税口座に移管される
- 移管されたときの価格は、継続管理勘定で持っていたときの時価
ということがわかります。
どういうことか具体例で説明します。
2021年 子どもが10歳のときにジュニアNISAで80万円の株を買った。
2026年 子どもが15歳のときに非課税期間が終了し、継続管理勘定に移管。このとき株価が20万円分上がって、時価100万円になっていた。
2029年 子どもが18歳になって成人した。継続管理勘定の株は時価120万円になっていた。
この場合、課税口座に120万円の株が移管されることになります。
80万円から120万円になっているので、譲渡益40万円に課税されるはずが、非課税なので、40万円×20%=8万円が節税できました。
要するに80万円出して120万円の株を手に入れたようなものです。
その後は通常の株式投資になります。
金融機関の変更はできません
他のNISAと異なり、ジュニアNISAは金融を変更することができません。
ということは、ジュニアNISAが廃止になったあとももちろん変更できません。
なので、ジュニアNISAを始めた金融機関を今後もずっと利用し続けることになるので、よく考えて金融機関を選ばないといけません。
何かと手数料がかかるような金融機関にしてしまうと後悔することになっちゃいます。
現在業界最安の手数料といえば、SBI証券か楽天証券ですので、この2社のうちいずれかであれば問題ないと思います。
というわけで、廃止に伴う法改正により使い勝手のよくなったジュニアNISAについて解説してきました。
条件に合う方はぜひご検討ください。
最後までご覧いただきありがとうございました!