【解説】源泉徴収票の計算をしてみよう【国税太郎さんの源泉徴収票】
サラリーマンの方であれば、11月くらいに年末調整の書類を会社へ提出しているのではないでしょうか?
で、12月になれば下のような源泉徴収票をもらいます。
(出典:令和2年分 給与所得の源泉徴収票の記載の仕方 - 国税庁)
源泉徴収票は何やら重要な書類らしいということはわかっていても、ここに書いてある数字が何を意味するものか知っている人は少ないのではないでしょうか?
そこで、上の国税庁から引用した画像の国税太郎さんの源泉徴収票を例にとり、実際に計算してみたいと思います。
1.支払金額
まず支払金額です。
6,847,500という数字が記載されています。
こちらは、会社から国税太郎さんへ支払われた給与や手当の合計額です。
問題ないですね。
2.給与所得控除後の金額(調整控除後)
次に給与所得控除後の金額です。
ここに記載されているのが、5,062,750という数字ですが、ここでもう迷子です。
周りにある数字を足したり引いたりしても一致しません。
いったい何の金額かよくわかりません。
何の説明もありません。
一言で言うなら不親切ですね。
「給与所得控除後の金額」と書いてあります。
「給与所得控除」って何でしょう?
その答えがこちらです。
1 給与所得控除とは
給与所得の金額は、給与等の収入金額から給与所得控除額を差し引いて算出しますが、この給与所得控除額は、給与等の収入金額に応じて、次のようになります。
ただし、給与等の収入金額が660万円未満の場合には、以下の表にかかわらず、所得税法別表第五(年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表)(e-Govへリンク)により給与所得の金額を求めます。令和2年分以降
(出典:No.1410 給与所得控除|国税庁)
つまり「給与所得控除後の金額」は、「支払金額」から「給与所得控除額」を差し引いてやれば算出されます。
実際に計算してみましょう。
国税太郎さんの支払金額は6,847,500円でした。
上の表の「給与等の収入金額」欄では、「6,600,001円から8,500,000円まで」に該当しますので、「給与所得控除額」は「収入金額×10%+1,100,000円」という計算式に当てはめて計算します。
これを計算すると、
6,847,500円×10%+1,100,000円=1,784,750円(←「給与所得控除額」)
「支払金額」から「給与所得控除額」を差し引くと、
6,847,500円-1,784,750円=5,062,750円
これで「給与所得控除後の金額」が算出されました。
3.所得控除の額の合計額
所得控除とは?
こちらは、4,669,846と記載されています。
先ほどは「給与所得控除」でしたが、こちらは「所得控除」です。
よく似た言葉ですが、どう違うのでしょう?
先の「給与所得控除」は、収入金額に応じて控除額が決まりました。
では、「所得控除」はどんな控除でしょう?
実は「所得控除の額の合計額」は数種類の「所得控除」を合計した額なんです。
どんな種類の控除があるかと言うと、
所得控除の種類は次のとおりです。
雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、 小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、 地震保険料控除、寄附金控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、基礎控除
この15種類です。
たくさんありますが、全部覚える必要はありません。
主要なものやなじみのあるものだけ抑えればいいです。
以下、主な控除を見ていきましょう。
基礎控除
令和元年以前は基礎控除として、誰でも38万円の控除がありました。
令和2年以降は所得に応じて控除額が変わります。
所得が2,400万円以下の人の基礎控除額は48万円です。
大体の人は48万円の控除になると思います。
(参考:No.1199 基礎控除|国税庁)
配偶者控除
所得が48万円以下(給与収入108万円以下)の配偶者がいる場合に受けられる控除です。
給与収入のほかに条件が3つほどありますが、気になる方は下記の参考リンク先でご確認ください。
控除額は基礎控除と同様に所得額に応じて変わります。
所得が900万円以下の人の控除額は38万円です。
この他は以下のリンク先をご参考ください。
(参考:No.1191 配偶者控除|国税庁)
配偶者特別控除
何が特別なのか?
何も特別なことはありません。
配偶者控除の条件の一つとして、配偶者の給与収入が108万円以下というのがありましたが、では給与収入が109万円なら控除が0になるのかというと、いきなり0にはならないのです。
正確にいうと、配偶者控除は0になって配偶者特別控除でいくらか控除されるという仕組みになっています。
条件や控除額は以下のリンクでお確かめください。
(参照:No.1195 配偶者特別控除|国税庁)
扶養控除
扶養というのは、要するに「養っている」ということですね。
子どもや収入がなくなった親などをイメージしていただくといいでしょう。
なお、扶養控除の対象となる親族の年齢は、16~23歳と70歳以上です。
なので中学生以下のお子さんには適用されません。
年齢や同居か否かなどで控除額が変わります。
(参照:No.1180 扶養控除|国税庁)
社会保険料控除
サラリーマンの方であれば、健康保険、国民年金、厚生年金保険などの社会保険料が毎月の給料から天引きされているのものと思います。
この社会保険料の全額が控除されます。
(参照:No.1130 社会保険料控除|国税庁)
生命保険料控除
サラリーマンの方であれば、年末調整の時に保険会社から送られてきたハガキを見ながら会社に提出する書類を作ったことがあるかと思います。
生命保険等に支払った額に応じていくらか控除されます。
契約の時期によって異なりますが、平成24年1月1日以後に契約して年間8万円以上の支払いがあれば、4万円の控除になります。
(参照:No.1140 生命保険料控除|国税庁)
地震保険料控除
家屋などの財産にかかる地震保険料の支払いがある場合に受けられる控除です。
こちらも会社の年末調整でなじみの方も少なくないと思います。
上限が5万円で、支払金額の全額が控除されます。
また、旧長期損害保険料も地震保険料控除の対象となりますが、ややこしいのでここでは割愛します。
(参照:No.1145 地震保険料控除|国税庁)
国税太郎さんの場合
国税太郎さんの「所得控除の額の合計額」は、4,669,846円でした。
この内訳の種明かしをしていきます。
まず源泉徴収票に表記されているものから考えます。
配偶者(特別)控除の額
「配偶者(特別)控除の額」の欄に380,000と記載されています。
給与収入が108万円以下の配偶者がおられるのでしょう。
社会保険料等の金額
「社会保険料等の金額」欄に909,846円と記載されています。
こちらは全額社会保険料控除となります。
生命保険料の控除
「生命保険料の控除」が120,000です。
こちらは生命保険料控除の最高額ですね。
引用します。
(出典:No.1140 生命保険料控除|国税庁)
国税太郎さんの源泉徴収票の「生命保険料の金額の内訳」欄にそれぞれの支払額が載っています。
適用欄の下ですね。
1,3,4は新契約のもので、支払額が8万円以上のとき、控除額が4万円になります。
2,5は旧契約のもので、支払額が10万円以上のとき、控除額が5万円になります。
国税太郎さんの場合、いずれも上限に達してますので、
4万円×3+5万円×2=22万円
となり、生命保険料控除の最高額である12万円が控除されることになります。
地震保険料の控除
こちらも最高額の50,000円が記載されています。
源泉徴収票に金額が明記されていない控除
で、ここまでは源泉徴収票に金額が明記されています。
この他の所得控除は、金額が源泉徴収票に記載されていません。
それは何かというと、
- 基礎控除
- 扶養控除
この2つです。
基礎控除
国税太郎さんは所得が2,400万円以下なので、基礎控除額は48万円になります。
扶養控除
「配偶者(特別)控除の額」の欄の左側に「控除対象扶養親族の数(配偶者を除く。)」欄があり、こちらに対象となる人数が記載されています。
金額をズバリ書くのではなく、人数さえわかれば金額も計算できるでしょってなものでしょうか。
控除額は、下の表のとおりです。
区分 控除額 一般の控除対象扶養親族(※1) 38万円 特定扶養親族(※2) 63万円 老人扶養親族(※3) 同居老親等以外の者 48万円
同居老親等(※4) 58万円
(出典:No.1180 扶養控除|国税庁)
特定扶養親族 1人×63万円=63万円
老人扶養親族(同居老親等) 1人×58万円=58万円
一般の控除対象扶養親族 4人×38万円=152万円
と、このようになります。
(なお、老人欄に「内」と書かれた欄に「1」、「人」と書かれた欄にも「1」と記載されていますが、「人」欄には同居も同居以外も含めたトータルの人数が記載され、「内」欄には、そのうち同居老親等の人数が記載されたものです。)
所得控除の額の合計額
国税太郎さんの所得控除の額を表にまとめると下のようになります。
基礎控除 | 480,000 |
配偶者控除の額 | 380,000 |
特定扶養親族の控除の額 | 630,000 |
老人扶養親族の控除の額(同居老親等) | 580,000 |
一般の控除対象扶養親族の控除の額 | 1,520,000 |
社会保険料等の控除 | 909,846 |
生命保険料の控除 | 120,000 |
地震保険料の控除 | 50,000 |
<合計> | 4,669,846 |
合計額が源泉徴収票の「所得控除の額の合計額」に合致しましたね。
4.源泉徴収税額
「所得控除の額の合計額」の右の欄が「源泉徴収税額」ですが、0円になってます。
なぜでしょう?
順番に見ていきましょう。
所得税額の計算
所得税額の計算式は、下のようになります。
課税所得の求める計算式は、
課税所得=支払金額-給与所得控除の額-所得控除の額
具体的な数字を入れて国税太郎さんの課税所得を求めます。
6,847,500-1,784,750-4,669,864=392,886→392,000(千円未満切捨)
所得税率は下の速算表から5%とわかります。
所得税の速算表 課税される所得金額 税率 控除額 1,000円 から 1,949,000円まで 5% 0円 1,950,000円 から 3,299,000円まで 10% 97,500円 3,300,000円 から 6,949,000円まで 20% 427,500円 6,950,000円 から 8,999,000円まで 23% 636,000円 9,000,000円 から 17,999,000円まで 33% 1,536,000円 18,000,000円 から 39,999,000円まで 40% 2,796,000円 40,000,000円 以上 45% 4,796,000円
したがって、所得税額は、
=392,000×5%
=19,600
ここから住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の額が差し引かれます。
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は税額控除
住宅ローン控除は税額控除です。
これまで見てきた生命保険料控除などは所得控除でした。
所得控除は収入があってそこから所得控除の額を差し引いて課税所得を算出していました。
税額控除は、課税所得から算出した税額から直接差し引きます。
国税太郎さんの住宅ローン控除がいくらかと言うと、源泉徴収票に表示されています。
ちょうど「国税花子」の欄の真上の「住宅借入金等特別控除可能額」欄の「205,000」、これが国税太郎さんの住宅ローン控除の額です。
先ほど算出した所得税額は19,600円でした。
住宅ローン控除の額(205,000円)の方が所得税額より大きいので、源泉徴収税額は0円になります。
そして、所得税から控除した額(19,600円)は「地震保険料の控除額」の右の「住宅借入金等特別控除の額」に印字されています。
控除しきれなかった住宅ローン控除の額が185,400円ありますが、これはどうなるかと言うと、住民税から控除されます。
なお、「住宅借入金等特別控除可能額」欄は、年末調整で控除しきれなかった場合にのみ印字されます。
なので、住宅ローン控除あるのに印字されてないという人も多いと思います。
最後までご覧くださり、ありがとうございました。
【解説まとめ】ライブドアがニッポン放送の株を大量に取得した事件?【一体何だったのか?】
みなさんは覚えてますでしょうか?
2005年に起こった、ライブドアと言う会社がニッポン放送の株式を大量に取得した事件を。
「メディアが何だか騒いでいたなあ」くらいの記憶の方も多いでしょう。
この事例を解説しながら、
株主とは何者か?
株主と経営者と会社の関係は何か?
コーポレートガバナンスとは?
についてまとめてみましたので、どうぞご覧ください。
概要
まずは時系列ですが、下記のとおりになっています。
1月17日 フジテレビジョンがニッポン放送株の株式公開買い付け(TOB)発表 2月8日 ライブドアがニッポン放送株の約35%を取得し筆頭株主に 10日 フジテレビジョンがTOBの目標を50%超から25%超に引き上げ 23日 ニッポン放送がフジテレビジョンに大量の新株予約権の発行を決定 24日 ライブドアが新株予約権の発行差し止めを東京地裁に申請 3月8日 フジテレビジョンがニッポン放送株の36.47%を確保しTOB成立発表 11日 東京地裁が新株予約権発行差し止めを決定 15日 フジテレビジョンが大幅増配を決定 16日 ライブドアがニッポン放送株の50%超(議決権ベース)を実質的に確保。東京
地裁、ニッポン放送の異議を却下22日 フジテレビジョンが500億円の増資枠を発表 23日 東京地裁がニッポン放送の抗告却下 24日 ニッポン放送が所有するフジテレビジョン株13.88%をソフトバンク・イン
ベストメント(現SBIホールディングス株式会社)に貸し出すと発表4月18日 フジテレビジョンとライブドア和解で合意 (2005年3月26日、4月19日日本経済新聞朝刊より作成)
(出典:上原 聖「企業価値と企業買収についての一考察」(高千穂大学大学院 Research Paper Series No.05-2 号),18頁)
時系列だけ見てもよくわからないので、NHKの記事から引用します。
インターネット関連企業、ライブドアの堀江貴文社長は2月、ニッポン放送株を35%以上買ったことを突然、発表した。フジテレビの筆頭株主のニッポン放送を通じてフジへの影響力狙ったもの。フジ側も3分の1を超えるニッポン放送株を取得したが、ライブドアはニッポン放送株の過半数を取得し、事実上、経営権を手に入れた。2か月余の攻防戦の末、ライブドアはニッポン放送株をフジに売り渡すことで合意、1400億円を受け取った。
(出典:ライブドアvsフジテレビ | NHK放送史(動画・記事))
リンク先には動画もありますので、ぜひご視聴ください。
ですが、上記の時系列でもNHKの記事でもニッポン放送よりもフジテレビに焦点が当たっています。
ニッポン放送とフジテレビはどういう関係なんでしょうか?
ニッポン放送とフジテレビの歪んだ資本関係
ニッポン放送はラジオ局、フジテレビはテレビ局で、この2社は同じ系列です。
ニッポン放送がフジテレビの親会社に当たります。
ニッポン放送が親で、フジテレビは子です。
下の図がフジサンケイグループの資本関係です。
(出典:2005年2月9日 日本経済新聞 朝刊)
上の図で確認していただきたいのは、ニッポン放送とフジテレビの関係です。
まず、ニッポン放送からフジテレビへ向かって矢印が引いてあり、その横に22.5%と記載されています。
これは、ニッポン放送がフジテレビの株式を全体の22.5%持っていることを示しています。
フジテレビの株式が1000株あったら225株がニッポン放送の物ということです。
この割合を株式の持分比率と言います。
当時ニッポン放送が、フジテレビの筆頭株主(=フジテレビの株式を一番たくさん持っている)でした。
一方、ニッポン放送の株式の持分比率はというと、
- フジテレビ 12.4%
- ライブドア 35%
ということで、このときのニッポン放送の筆頭株主はライブドアでした。
ライブドア(親)→(子)ニッポン放送(親)→(子)フジテレビ
こんな関係だったということです。
また、ニッポン放送とフジテレビの文字の下に(〇〇億円)と書かれています。
ニッポン放送が1094億円、フジテレビが4559億円です。
これは直近の売上高です。
フジテレビの方が4倍以上の売上ですね。
また時価総額で言うと、
(出典:堀江社長「ライブドア+ニッポン放送」でYahoo!追撃 - ITmedia NEWS)
時価総額って何かと言うと、
個別企業の時価総額=発行済み株式数×株価
(出典:わかりやすい用語集 解説:時価総額(じかそうがく) | 三井住友DSアセットマネジメント)
つまりどういうことかというと、ニッポン放送の株式を全部買ったら2330億円ってことです。
フジテレビの株式を全部買ったら5990億円です。
例えばライブドアが2330億円払ってニッポン放送の株式を全部買ったら、ニッポン放送は100%ライブドアの物です。
そしたら、ニッポン放送はフジテレビの株を22.5%所有していますので、フジテレビの22.5%も支配することになります。
つまりライブドアは、このとき2330億円を払うだけで、ニッポン放送(2330億円)とフジテレビの22.5%(5990億円×22.5%=1,348億円)の両方手に入れることができるんです。
超ラッキー!
2300円の雑誌買ったら付録に1,350円のバッグがついてたみたいなものです。
5割増以上の価値がありますね。
こんなのライブドアでなくても目をつけますよね。
実際、ライブドアより以前に村上ファンドがニッポン放送の株式を集めていました。
子会社の方が親会社よりも規模が大きいとこんな逆転現象が起こるので、通常そうならないように配慮するものです。
なぜこんなことになってしまったのでしょう?
なぜ親子関係が逆転したか?その背景
なぜ親子関係の逆転が起こったのでしょう?
その背景についてまとめてあるサイトから引用します。
後発メディアであるテレビは、その誕生以来瞬く間に巨大な産業に成長し、母体であるラジオをあっという間に追い抜いていきました。日本を代表するメディアグループであるフジサンケイグループも、実質的には稼ぎ頭であるフジテレビを中心に運営されていましたが、そのフジテレビの筆頭株主は、その歴史的経緯から、ニッポン放送のままとなっていました。この「ねじれ」を解消するため、当時ニッポン放送の筆頭株主であった村上ファンドの村上世彰さんは、フジテレビと合同で持ち株会社を設立し、フジテレビとニッポン放送の両者をその子会社化することを提案します。しかし、ニッポン放送の経営陣は、フジテレビに対して第三者割当増資を行なうことを決定しました。これによって、ニッポン放送の持ち株比率は、村上ファンドが16.6%で1位、続いてフジテレビが12.3%で2位となりました。そして2005年1月17日、ニッポン放送の大株主である鹿内家が株式の放出を決定します。フジテレビは公開買い付け(TOB)によってこの株を取得し、50%以上の株式を得て、親子関係のねじれ解消を目指しました。
(出典:【メディアポ】ラジオニッポン放送ライブドア事件とは)
「その歴史的経緯から」という一言で済ましていますが、この「歴史的経緯」がなかなか複雑なのです。(説明をすると冗長になってしまうので一言で済ましたのだと思います。)
それはWikipediaに詳しいです。
ニッポン放送の経営権の歴史的経緯
なかなか複雑な経緯を簡単に言うと、
- ニッポン放送の創業者の鹿内家がフジテレビを含むフジサンケイグループの大株主であり、経営権を握っていた。
- 1992年、クーデターが起こり、鹿内家は経営から離れた。しかし、依然鹿内家は大株主であり、株主としての影響力は変わりなかった。
- 1996年、鹿内家の持株比率を下げるため、ニッポン放送とフジテレビは東証に上場した。つまり親子関係が逆転したままの上場となった。
クーデターとか内部の争いは今は置いておきます。
ポイントは、諸事情あって親子関係が逆転したまま上場してしまった、というところです。
ここで、株主と経営者、それと上場について整理しましょう。
株主と経営者
経営者は、社長とか会社のトップの人と、簡単にイメージがつきます。
株主のイメージはというと、
- 会社には来てない
- 会社の仕事には直接関わりない
- お金持ち
- 家のパソコンで株の取引してる
こんな感じだと思います。
株主と経営者だったらどっちが偉いの?と聞かれたら、「経営者!」と答えてしまうかもしれません。
ですが、答えは「株主」なんです。
「株主なんて仕事関係ないやん!」って思っちゃいますが、株主は経営者より上に位置づけられるのです。
というか、会社は株主の物なんです。
株式会社とは?
いったん17世紀ごろのヨーロッパ、大航海時代に戻って考えてみましょう。
例えば、あなたはインドの香辛料を輸入したら大儲けできると知りました。
輸入と言っても、当時は船で何ヶ月もかけて航海しないとヨーロッパからインドには行けません。
船の費用や人件費など莫大な資金(コスト)が必要ですし、航海は命を落としかねないとても危険な事業(リスク)です。
あなたに航海術のスキルがあったとして、とにかくお金が足りないので、あなたは資金を出してくれる出資者をさがすことにしました。
「リスクや船の舵取りは俺が引き受けるからコストは誰か引き受けてくれ」ってことですね。
運良く大金持ちの出資者が見つかったとします。
出資者はこう言います。
「船も人件費も食費も、航海にかかる費用は全部出してやろう。ただし、儲けの8割は俺のものな。残りの2割はお前にやる」
こうしてあなたは航海に出ることができました。
この場合、あなたが経営者で、出資者が株主と言えます。
あなた(経営者)は、一銭のお金も出さずに航海(経営)することができ、無事成功すれば、儲けの2割を手にすることができます。
この儲けの2割は、現代で言う役員報酬に当たります。
出資者(株主)は、船が沈没したり(倒産)、あなたがお金を持ち逃げしたりするリスクはありますが、お金を出すだけで、命のリスクを背負うことなく儲けの8割を手にすることができます。
この儲けの8割は、現代で言う配当金に当たります。
この例でわかるように、出資者の方がイニシアチブが取れます。
なぜなら、その船(会社)の所有者(オーナー)は出資者ですからね。
出資者は、あなたのプランが気に入らなければ出資しませんし、あなたが船の舵取りが上手くないと判断したら別の人に任せることもできます。
この例では出資者は1人ですが、莫大な資金が必要なら出資者が2人ということも充分あり得ます。
3人だって4人だっていいです。
では、4人出資者がいた場合、この中で誰が一番イニシアチブを取るかと言ったら、一番お金を出した人でしょう。
1億円の出資額のうち、Aさんが5000万円、Bさんが3000万円、Cさんが1500万円、Dさんが500万円だったとすると、出資比率は
Aさん 50%
Bさん 30%
Cさん 15%
Dさん 5%
となります。
現代で言い換えれば、出資比率は株式の持分比率ですし、Aさんは筆頭株主ということになります。
さらに、出資した証拠に、額に応じた株券を発行します。
まあ、今は紙の株券などなくて電子になってますが。
上場とはどういうことか?
上場と聞いてどんなイメージを持ちますか?
「東証一部上場企業」と言われたらどうでしょう?
信用できる!
儲かってる!
大企業!
そんなイメージではないでしょうか?
こういった企業イメージを良くするのが上場の本質かと言われたらそうではないんです。
出資者を募る、資金調達するのが本質です。
そのために株式市場で自由に株式を取引できるようにすることを上場と言います。
もう一度17世紀に戻りましょう。
17世紀であれば、株主と経営者は顔見知りだったことでしょう。
ですが、時代が下るにつれ、出資額が膨大になります。
例えば、鉄道なんかは機関車や線路など初期設備に資金がかかります。
そうなると、顔見知りだけでなく、知らない人から出資を募らざるを得ないようになります。
全然知らない人が事業内容を見て出資するようになるんですね。
例えば、ある事業に1億円の出資額が必要だったとします。
あなたがその1%を出資したとします。
つまり100万円出資してその分の株券を入手しました。
その事業は大変儲かったので毎年10万円の配当金が出ました。
この株券は毎年10万円を生み出すキャッシュマシーンなわけです。
あるとき、あなたのところに人が来て、その株券を200万円で売ってくれと申し出ます。
株式を買うと申し出た人はキャッシュマシーンが欲しい。
もし、あなたが何らかの理由で今すぐ現金が欲しければこの売買は成立するでしょう。
また、その事業がうまく行っていて将来性があるとか、配当金が上がりそうということであれば、売値がさらに上がるでしょうし、逆なら下がります。
これが株式売買の基本形です。
何でもそうですが、売買するとき、何が難しいかというと、売りたい人と買いたい人のマッチングが難しいです。
買いたい人と売りたい人がお互いを見つけることができればいいですが、それが難しいのです。
先の例では、うまく買いたい人が売りたい人を見つけられましたが、株券を持っている人を見つけても売ってくれなかったり、そもそも買いたい株券を持っている人を見つけることが困難だったりします。
株券を売りたい人と買いたい人を広く集めてマッチングさせる場が株式市場です。
上場するというのは、株式市場で誰もが自由に株式を売買できるようにするということです。
つまり、八百屋さんみたいに自分の会社の株を店頭に並べて、誰でも買えるような状態ですね。
まとめますと、
- 株式は資金調達のために売買する。
- 株式の売り手と買い手をマッチングするために上場する。
企業イメージのアップのために上場するのは、本質でないことがわかったかと思います。
これまでの日本の株主の取り扱い
理論上、制度上、実質的に、どの方面から見ても会社は株主の物です。
ですが、日本では今でも「会社は社長の物なんじゃないの?」っていうくらい、ずっとそのような認識が欠けていました。
その理由としては、
- 中小企業が多く、社長=大株主の構図が多い
- 持ち合い株が多い
などが考えられますが、とにかく日本では株主が経営に関与しないことが慣習となっていました。
例えば、あなたがソニーの株の51%を取得したとしたら、ソニーはあなたの物です。
経営方針の変更や経営者を別の人を据えるなどしてもいいわけです。
あなたの物ですから。(それで経営が悪化しなければいいですが。)
こんなことする人が日本にはいませんでしたが、これを実践する人が現れました。
モノ言う株主・村上ファンド
それが村上ファンドです。
- 割安で放置されている会社の株を買い、大株主なる。
- 経営に口出しする。
- 株価が上がったところで売り抜ける。
村上ファンドはこのようなことをやったんですね。
やられた会社からすれば、急に現れて会社を引っ掻き回されて、株価が上がったら「はいサヨナラ」って、とんでもないことです。
経営に口出しされることに会社の経営陣は異常なほど拒否反応を示します。
株主が経営に口挟むんじゃないって感じで。
ライブドアの場合も同じで、ニッポン放送は経営陣だけでなく、社員さえもこんな声明を出すほどでした。
声 明
私たちニッポン放送社員一同はフジサンケイグループに残るという
現経営陣の意志に賛同し、ライブドアの経営参画に反対します。
(出典:ニッポン放送の経営権に関するニッポン放送社員声明文)
今までの説明を理解していただいた方にはこれがいかに的外れかお分かりかと思います。
経営陣が株主の関与を嫌がるのはまだ判ります。
社員が反対するのは筋違いも甚だしいですね。
反対するなら転職すべきでしょう。
会社は株主の物なのだから、言うまでもなく筆頭株主の意向が反映されます。
そこの理解が全然できてないんですね。
上場するってことはこういうことが起こるってことです。
上場したからには、いつ買収されるかわからない、どんな人が筆頭株主になるかわからない、というのは当然なんですよね。
それが嫌なら51%以上は経営陣で持ち合うとか、買収に対する防衛策を張ればいいだけの話です。
防衛策も講じずに店頭に株式を並べておいて、いざ知らない人が株式を大量購入したら慌て始めるというのは、「そんなことする奴、日本にはいない」という甘えなんですね。
なお、村上ファンドはライブドアの前にニッポン放送の株式を取得し、筆頭株主でありました。
実は村上ファンドは筆頭株主になり、親子逆転現象の解消に乗り出しているんですね。
先に引用したこの部分ですね。
この「ねじれ」を解消するため、当時ニッポン放送の筆頭株主であった村上ファンドの村上世彰さんは、フジテレビと合同で持ち株会社を設立し、フジテレビとニッポン放送の両者をその子会社化することを提案します。しかし、ニッポン放送の経営陣は、フジテレビに対して第三者割当増資を行なうことを決定しました。
村上ファンドの提案はこうです。
新しく会社を作って、その会社を親会社にして、ニッポン放送もフジテレビもその会社の子会社にしましょう。
親子だったニッポン放送とフジテレビがきょうだいになるようなものです。
ですが、この提案は却下され、「ニッポン放送の経営陣は、フジテレビに対して第三者割当増資を行なうことを決定しました。」
どういう意味かと言うと、ニッポン放送が新たに株式を発行してそれをフジテレビが買うということです。
これにより村上ファンド&フジテレビの持分割合を高めることができます。
こうすれば、他者がニッポン放送の株を取得しても、その持分割合が村上ファンド&フジテレビ以下であれば、経営に影響を及ぼすことができません。
買収に対する防衛策ですね。
実際にはライブドアが筆頭株主になったので、防衛策も隙があったということでしょう。
村上ファンドもライブドアの資金力を甘く見積もっていたと述懐しています。
決着
結局のところどうなったかと言いますと、
(出典:ライブドアvsフジテレビ | NHK放送史(動画・記事))
ライブドアがフジテレビに株を売り渡すことで解決を見ています。
これで一応騒動は収まりました。
なお、2008年10月にフジサンケイグループは持株会社体制に移行しました。
コーポレートガバナンスとは?
この騒動は連日報道され、民衆に残した印象は、「乗っ取り怖いね」でした。
報道もテレビ局が主導してましたので、フジテレビ側に立ったものでした。
すなわち、株主が経営に関与することへの拒否反応を正当化するものでした。
ですが、ライブドアに何か問題はあったでしょうか?
株式の大量取得も違法なものではなく、上場している以上誰が取得しても驚くべきことではありません。
筆頭株主がその会社の経営に関与するのも何も悪いことはありません。
自分の会社なのですから、どういった経営をするか関与しない方がおかしいです。
「コーポレートガバナンス」で検索するとこのような日本公認会計士協会のページがヒットします。
引用します。
本来、経営者は株主利益の最大化を達成するために企業の運営を行うものである。1980年代に、米国では、経営者が株主利益の最大化を図って運営しているかを監視する仕組みを設け、これをコーポレート・ガバナンスと呼んで重視するようになった。
(出典:分かりやすい「会計・監査用語解説集」:コーポレート・ガバナンス(企業統治) | 日本公認会計士協会)
やはりここでも「経営者が株主利益の最大化を図」ると書いてあります。
株主とは、会社にとって何者なのか?
経営者とは、誰のために何をする者か?
というところを改めて考えて欲しいと思います。
ライブドアの事件を詳しく知ることで、経営者と株主の関係が正しく認知されればいいなあと思います。
最後までご覧くださり、ありがとうございました。
仕事好きな人って迷惑じゃないですか?
仕事好きな人は仕事を増やす
私のような仕事の嫌いな人間からすると仕事好きな人って迷惑なんですよ。
仕事好きな人って仕事増やすでしょ?
仕事が好きだから。
自分で増やして自分でやる分にはいいんですよ、それは問題ない。
他の人の仕事まで増やされると迷惑になってしまうんです。
こんなことがありました
以前に職場内の研修の講師を任されたことがありました。
通常業務の他に講義の内容を考えたり、パワーポイントを作ったりと、この時点でも仕事が増えてうんざりでした。
まあそれは仕方ないとして、ある日突然全く関係のない部署の仕事好きがやってきてこう言いました。
「研修の講師やるんだって?だったら講義の中で新型コロナの影響について触れた方がいいよ。そうするべきだよ。」
彼はよく「した方がいい」という言い方をします。
「しないといけない」というものではありません。
あくまで「した方がいい」レベルです。
裏を返せば、「した方がいい」は「しなくてもいい」です。
ですが、その仕事好きの影響で新型コロナについても講義に取り込むことになりました。
「しなくてもいい」ことをやりました。
このやるせなさの要因たるや?
世の中の人は2種類に分かれる
仕事好きな人と仕事が好きじゃない人の2種類の人がいます。
だいたいの人は仕事好きじゃないですね。
生活するのに必要なお金を稼ぐために仕方なく仕事をしている人たちです。
私はこちら側です。
一方、仕事が好きな人がいます。
こういう人は、自ら進んで仕事をしたり、バリバリ残業をしたり、仕事関係の資格の勉強に励んだりと生活の中心を仕事に置くといったプライベートより仕事優先のスタイルであったりします。
プライベートを犠牲にして時間や労力を仕事に注ぐことに抵抗がありません。
仕事好きの人の職場での影響力
仕事をする場である職場においては、仕事好きの人は重宝されます。
それは当然ですよね。
仕事好きで積極的に仕事をする人と、仕事嫌いでダラダラ仕事してる人とがいたら、社長目線で見れば、仕事好きの人の方が有用なのは明らかですよね。
他の社員にとってもよく仕事してくれる人は助かる存在です。
結果、仕事好きの人の方が出世します。
職場内で評価を得て、影響力や発言力が増していきます。
ここまではいいんです。
ここからが曲者なんですよ。
出世すると管理職になって実務はせず、命令や指示をする立場になるんですね。
となると、先の研修講師のエピソードで出てきた仕事好きのように、「しなくてもいい」「した方がいい」レベルのことまで命令してやらせるようになります。
本人は時間や労力を仕事に突っ込むことに躊躇ないので、こちらの都合などお構いなしに「しなくてもいい」ような仕事までするように命令します。
また、仕事好きは、実績もあり、職場で一定の評価を得て影響力があります。
私のような仕事嫌いよりよほど信頼されています。
そのため上司でもない人のアドバイスにより、新型コロナの件も講義内容に取り込まざるを得なくなりました。
「しなくてはいけない」と「した方がいい」との間には
仕事好きの言ってることは間違ってはいません。
「した方がいい」のは正しいです。
ないよりあった方がいいです。
その点については正しい。
ですが、先に述べたように「した方がいい」ことは「しなくてはいけない」ことではありません。
「しなくてもいい」ことなんです。
「した方がいい」ことで、大方の人がやってないことなんて山ほどあります。
例えば、勉強。
英語でも法律でもITでも簿記でも何でもいいです。
これらの勉強は「した方がいい」ということはみんな知ってます。
ですが実際に勉強している人は、ほんのひと握りです。
今挙げた4つ全て勉強している人はもっと少ないです。
「しなくてはいけない」と「した方がいい」(≒「しなくてもいい」)の間に明確な線引きはありません。
電車の優先座席を例にとって考えてみましょう。
その昔、優先座席というものはありませんでした。
ですが、高齢者の方に座席を譲る方がいいよね、ってことで優先座席が始まりました。
その後、障がい者の人、ケガをしている人、病気の人、妊婦さんにも座席を譲った方がいいよねってなりました。
立ちっぱなしが辛い人に座席を譲ろうという流れですね。
でも辛さって人それぞれですよね?
高齢者と言っても70歳と90歳じゃ体力に差があるので辛さが違いますよね?
また同じ70歳の中でも体力に違いありますよね?
また障がい者の中でも、ケガしてる人の中でも同じように辛さの度合いって違いますよね?
だれを優先するか明確にするために優先順位を「つけた方がいい」ですよね?
一見しても辛さの度合いってわからないので、数値化「した方がいい」ですよね?
じゃあジャンルの違う辛さを平等に評価するために数値化の基準を「作った方がいい」ですよね?
こんなふうに「した方がいい」ことなんて増やそうと思えばいくらでも増やせるんですよ。
でもこんなことしようと思う人はいませんよね?
労力に比して効用が少ないからですね。
私の時間や労力は有限です。時間や労力を何に割くかは私が決める。
仕事好きの人には時間や労力が有限であるという視点が抜け落ちているような気がします。
私の時間や労力は有限です。
私は仕事よりもプライベートの時間を優先したいです。
有限である私の時間や労力を何に割り当てるかは、私の選択に任されるべきではないでしょうか?
仕事はせざるを得ません。
生活にはお金がかかりますから。
人生において仕事に時間と労力を割くのは不可避です。
職場では仕事をする人が重宝されるので、仕事に時間と労力を割くべきだという意見が通りがちです。
ですが、職場という単位ではなく人生という単位で見れば歪んでませんか?
人生において、有限な時間や労力を何に割くかは各個人が決めるべきものです。
人生の中ではいろいろな時間があります。
仕事をしている時間
家族と過ごす時間
恋人と過ごす時間
ひとりでいる時間
どの時間を大切にしたいかは、自分以外の誰かが決めるものでも決めていいものでもありません。
時間は有限です。
自分にとって一番大事にしたい時間を優先していきたいですね。
【ポイント整理】なぜか廃止が決まったら人気が上がったジュニアNISA【まだ間に合う】
なぜか廃止が決まったら人気が上がったジュニアNISA
こんな記事がありました。
これらの記事によると、2023年度12月末にジュニアNISAの制度が廃止されることが決定されましたが、廃止が決定してから利用者数や投資額が増えたとのことです。
不人気で廃止することになったのに、なぜ廃止が決まってから人気が上がったのでしょうか?
廃止に伴って使い勝手のいい制度に生まれ変わったと言われています。
利用価値があるのなら、使わないと損です。
廃止が2023年で、今から口座開設しても3年間利用できますので、まだ間に合います。
ポイントを整理して解説したいと思います。
ジュニアNISAの概要
ジュニアNISAって何だろう?
そもそもNISAって何ですか?というところから、ざっくりと説明します。
株などに投資した場合、株価が上がって売却すると利益が出ます。
この利益(譲渡益)には通常20%の税率で税金が取られます。
また、株を持っているだけで、その株の会社から配当金というお金がもらえます。
この配当金にも20%の税金が課せられます。
この税金がかからないように非課税にする制度がNISAです。
ただし、上限額や期間の制限があります。
NISAには一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAと3種類ありますが、ジュニアNISAの条件については下記のとおりです。
利用できる方 日本にお住まいの0歳~19歳の方(口座を開設する年の1月1日現在) 非課税対象 株式・投資信託等への投資から得られる配当金・分配金や譲渡益 口座開設可能数 1人1口座 非課税投資枠 新規投資額で毎年80万円が上限(*1) 非課税期間 最長5年間(*2) 投資可能期間 2016年~2023年(*3) 運用管理者 口座開設者本人(未成年者)の二親等以内の親族(両親・祖父母等)(*4) 払出し 18歳までは払出し制限あり。(*5)
(出典:ジュニアNISAの概要 : 金融庁)
注目は、「利用できる方」と「運用管理者」という欄です。
- 「利用できる方」=口座名義人
- 「運用管理者」=株式や投資信託などの運用をする人
という認識でいいでしょう。
上の表を見ると「利用できる方」は未成年で、「運用管理者」は口座開設者の両親・祖父母等となっています。
要するに、子供の名義で親などが運用することが想定されています。
ジュニアNISAの目的
ジュニアNISAを利用するとして、何を目的に資産形成していくのでしょうか?
金融庁のHPでは下記の2つの目的が挙げられています。
- 進学や就職に向けての準備金
- 投資教育
実際の運用目的としては、教育資金の確保が多いと思います。
子どもの大学受験の費用や授業料など数百万で済めば安い方で何千万とかかることもあります。
私たちはこの他に老後資金も貯めないといけませんので、教育資金の確保は大きな負担になっています。
この負担を支援するため、非課税でお得に貯蓄できる制度がジュニアNISAということです。
ジュニアNISAが不人気で廃止が決定した理由
子どものいる家庭では、ほぼ間違いなく教育資金が必要になります。
教育資金を非課税で貯蓄できるなんて、ジュニアNISAはステキでお得な制度だと思いませんか?
こんなステキでお得な制度が、なぜ不人気で廃止が決まってしまったんでしょう?
ジュニアNISAには致命的な落とし穴があったからなんです。
上で引用した金融庁のHPの表の「払出し」の欄をご覧ください。
18歳までは払出し制限あり。(*5)
と書いてありますね。
(*5)も見てみましょう。
*5 …3月31日時点で18歳である年の前年12月31日までの間は、原則として払出しができません。ただし、災害等やむを得ない場合には、非課税での払出しが可能です。
子どもが18歳になるまで払出し=現金化できないと書いてあります。
この払出しの制限が不人気の理由です。
無理に払出ししたらどうなるかと言うと、
口座開設者が18歳になるまで(*1)に、ジュニアNISA口座から払出しを行う場合は、過去の利益に対して課税され、ジュニアNISA口座を廃止することになります。(*2)
(出典:ジュニアNISAの概要 : 金融庁)
非課税であったはずのものが、途中解約という扱いで、過去に遡って課税されてしまいます。
過去に遡ってということは、過去に非課税でもらった配当金にかかる税金も支払わないといけないということです。
払出し制限によるデメリットは以下のようなものが考えられます。
- 大学の受験料、入学金は払出し制限の期間かもしれない
- 子どもが私立高校に進学した場合、お金が必要なのに払出しができない
- 目標金額を設定していて運よくその目標を達成しても、払出し制限期間だと払出しできない
- 暴落することがわかっても、払出し制限期間だと何の手出しもできない(預貯金や債券はジュニアNISAの対象商品ではありません)
このような致命的なデメリットがあったので、使い勝手の悪い制度として敬遠されていたんです。
お金が必要なときに使えないとか、暴落するとわかってるのに逃げられないとか、安心して利用できないですよね。
ですが、このたび廃止が決定し、法改正され、逆に使い勝手の良い制度に生まれ変わりました。
廃止に伴う法改正により払出し制限がなくなった!
廃止になったために、払出し制限がなくなりました
これまでは、18歳になる前に途中解約した場合、遡り課税になってました。
が、ジュニアNISA自体が2023年12月になくなってしまいますので、2024年以降は「途中」解約という意味合いではなくなりました。
2024年以降に払出しするときは、18歳より以前であっても非課税のままです。
金融庁のHPから引用します。
Q25:現在、ジュニアNISAは2023年で制度が終了してしまうと聞きました。2023年の時点では、子どもはまだ18歳になっていないのですが、ジュニアNISA口座を開設した場合、2023年以降は非課税の取扱いを受けられないのでしょうか?
現在、NISA及びジュニアNISAは、2023年までの時限的な制度とされているため、非課税で投資ができるのは2023年までとなっています。
もっとも、ジュニアNISAについては、口座開設者が18歳になるまでの間、口座内の資産の払出しに制限がある一方で、2023年の時点で18歳に達しない方もいると考えられることから、2023年に制度が終了した後も、口座開設者が20歳になるまでは、ジュニアNISA口座内で購入した金融商品を非課税で持ち続けることが可能です。
(出典:ジュニアNISA Q&A : 金融庁)
「2023年に制度が終了した後も、口座開設者が20歳になるまでは、ジュニアNISA口座内で購入した金融商品を非課税で持ち続けることが可能です。」と明記されていますね。
(なお、引用の中では「20歳」と書いてありますが、民法の改正により2022年4月以降は、成人年齢が18歳になりましたので、適宜読み替える必要があります。)
つまり、ジュニアNISAの唯一であり致命的な欠陥がクリアされたのです。
これなら安心して利用できますね。
今(2021年)からでも3年間×80万円=240万円を投資できますので、条件に当てはまる方で資金に余裕のある人は一考の価値アリです。
注意点等
最後に注意点等を記しておきます。
継続管理勘定
2024年以降(=ジュニアNISA廃止以降)、ジュニアNISAで投資してから5年経つと「継続管理勘定」という口座に移管されます。
一応非課税期間が5年なので、その期間が終わったということですが、
子どもが成人した後
子どもが成人した場合、ジュニアNISA制度期間内であれば、ジュニアNISA口座から自動的にNISA口座へ移管します。
ジュニアNISAが終了している場合(2024年以降)は、「継続管理勘定」という口座に移管され、成人になるまで非課税で保有することができます。
「継続管理勘定」に移ったあとに売却しても非課税ですので安心してください。
ですが、新規の買付や商品の入れ替えは当然ながらできません。
詳しくはこちらをご参照ください。
(参照:ジュニアNISAの手続に関するQ&A (Q14)未成年者口座の開設後、非課税措置の期間(令和5年まで)が終了するまでに20歳になった場合はどうなるのですか?)
継続管理勘定移管からNISA口座に移管できるのかと言うと、結論的にはできないと思われます。
下図を見ると、
(出典:ジュニアNISAのポイント : 金融庁)
継続管理勘定から20歳になった場合、
「20歳になったら
課税口座へ払出し※3」
「※3払出し時の時価が、新たな取得価格となります。」
とありますので、継続管理勘定で持っている株等は、成人したら
- 課税口座に移管される
- 移管されたときの価格は、継続管理勘定で持っていたときの時価
ということがわかります。
どういうことか具体例で説明します。
2021年 子どもが10歳のときにジュニアNISAで80万円の株を買った。
2026年 子どもが15歳のときに非課税期間が終了し、継続管理勘定に移管。このとき株価が20万円分上がって、時価100万円になっていた。
2029年 子どもが18歳になって成人した。継続管理勘定の株は時価120万円になっていた。
この場合、課税口座に120万円の株が移管されることになります。
80万円から120万円になっているので、譲渡益40万円に課税されるはずが、非課税なので、40万円×20%=8万円が節税できました。
要するに80万円出して120万円の株を手に入れたようなものです。
その後は通常の株式投資になります。
金融機関の変更はできません
他のNISAと異なり、ジュニアNISAは金融を変更することができません。
ということは、ジュニアNISAが廃止になったあとももちろん変更できません。
なので、ジュニアNISAを始めた金融機関を今後もずっと利用し続けることになるので、よく考えて金融機関を選ばないといけません。
何かと手数料がかかるような金融機関にしてしまうと後悔することになっちゃいます。
現在業界最安の手数料といえば、SBI証券か楽天証券ですので、この2社のうちいずれかであれば問題ないと思います。
というわけで、廃止に伴う法改正により使い勝手のよくなったジュニアNISAについて解説してきました。
条件に合う方はぜひご検討ください。
最後までご覧いただきありがとうございました!
【レビュー】無印良品 木軸2mm芯シャープペン HBをエイジング!もっと木の風合いを出したい!
こちらの商品を購入しました。
無印良品の「木軸2mm芯シャープペン」です。
木軸ですよ!
天然木!
本物の木を使ってますので一本一本木目が違うんですね。
お店で見つけたら見比べてみましょう。
購入するときは見比べて気に入った木目の物を選びましょう。
少しわかりづらいですが、上の写真をよく見ると左右で木目が異なっています。
2つの木を接いで作られているんですね。
シャープペンを選ぶときにはこの点も注意です。
左右木目や色の調子が似たものを選ぶもよし、違うものを選ぶもよしです。
私は少し調子の違うものを選びました。
全然色が違っていて、まるで2色のボディのようなものもあって、それはそれで面白かったです。
書き味はこんな感じです。
書き心地は鉛筆に近いですね。
芯が太いので一層鉛筆感があります。
木の風合いが手になじんでとても良いですね。
ですが、もっと木の風合いを出したい。
そんな欲望がどこからともなく湧きあがってきましてですね。
紙やすり!?
ああ~、やすりました!
完全に紙やすりでやすってしまいました!
白くなってますね。
何がしたいかと言うと表面の塗装を落としたいんです。
塗装を落としてどうする気かと言うとオイルを塗りこみたいのです。
オイルを塗ることによって
- 艶が出る
- 汚れを弾く
- 乾燥を防ぐ
などの効果が得られます。
私の主目的は艶を出したり、色に深みを出したりしてエイジング(経年変化)を進めることです。
汚れや乾燥を防ぐのなら表面の塗装を残しておいた方がいいですものね。
木軸ペンのメンテナンスに使うオイルなんですが、検索してもらえればすぐわかりますが、どんなオイルを使うかこだわりどころなんですね。
オイルによって風合いが変わってきますもんね。
人によっては、ミンクオイルだとか、蜜蝋だったり、革製品用のラナパーというオイルなどを使っているわけですよ。
そんな中で私が選んだのは、このオイルです。
AJINOMOTO オリーブオイル エクストラバージン!!
信頼の味の素さんです!
オリーブオイルをお皿に開けて、指につけてシャープペンに塗り込みます。
そんなにたくさんは要りません。
こんな少しでいいのかなくらいで、すぐベトベトになります。
いかがでしょうか?
オイルでテカっているのがわかりますでしょうか?
これから毎日地道にオイルを塗り込んでいきます。
購入から1週間が経ちました
購入から1週間毎日オイルを塗りこみ続けた結果がこちらです。
〇購入時
〇2日目
〇3日目
いかがでしょうか?
3日目にして木目に深みや艶が出てきたような気がします。
〇1週間後
写真ではわかりづらいかもしれませんが、ほんのり艶が出てますね。
こうやって手入れをすることでとても愛着がわきます。
これからも木軸の手入れをして味のあるシャープペンにしていきたいと思います。
最後までご覧くださいましてありがとうございました。
【中学数学】食塩水の濃度の問題の解き方!とにかく食塩の重さを押さえよう!
難しいよね、食塩水の濃度って
中学1年生の娘の勉強を見てたら、下のような問題がありました。
(問1)
4%の食塩水500gに10%の食塩水を混ぜて、6%の食塩水をつくりたい。
10%の食塩水を何g混ぜればよいか。
(問2)
4%の食塩水300gに食塩を混ぜて10%の食塩水をつくりたい。
何gの食塩を混ぜればよいか。
(問3)
8%の食塩水が500gあります。
この食塩水を何gまで煮詰めると、濃度は10%になりますか。
こんな問題ありましたね。
食塩水の濃度問題です。
そもそも誰しも割合って苦手です。
また公式なんかが出てきたりして丸暗記しようとして余計に混乱してしまいがちです。
食塩水の濃度の問題のコツはただ1点。
食塩の重さを押さえる
これだけです。
では、食塩の重さを知るためにはどうすればいいか。
これを軸に考えます。
順番に解説していきます。
食塩水の中の食塩の重さを知るための3つのポイント
食塩水の中の食塩の重さを知るために押さえておくべきポイントは3つあります。
ひとつめ。
食塩水(全体)の重さ=食塩の重さ+水の重さ
例えば、食塩10gと水190gを混ぜれば、200gの食塩水ができあがります。
当たり前じゃないか、と思えたらOKです。
でもこの当たり前が大事です。
ふたつめ。
濃度=食塩の重さ ÷ 食塩水(全体)の重さ
食塩水の濃度って何だ?ってところです。
食塩水の濃度とは、食塩水全体の重さのうちどれだけの重さの食塩が入っているかです。
さきほどの例では、
- 食塩 10g
- 水 190g
これらを混ぜて
- 食塩水(全体)200g
を作りました。
ここで水の重さは無視します。
- 食塩 10g
- 食塩水(全体)200g
この2つだけ考えます。
すると
10 ÷ 200 = 0.05
よってこの食塩水の濃度は5%ということになります。
みっつめ。
食塩の重さ=食塩水(全体)の重さ × 濃度
これは先ほどの逆のことをしているだけです。
食塩水(全体)の重さと濃度から、その中に入っている食塩の重さを割り出そうという試みです。
例えば、下の場合を考えてみましょう。
- 食塩水(全体)200g
- 濃度5%
単純に食塩水(全体)に濃度をかけるだけでいいです。
200 × 0.05 = 10
ということで、食塩が10g入っていることがわかります。
実際に問題を解いてみよう!
(問1)
4%の食塩水500gに10%の食塩水を混ぜて、6%の食塩水をつくりたい。
10%の食塩水を何g混ぜればよいか。
冒頭の問題の問1です。
いくつかのステップに分けて進めましょう。
- 4%の食塩水500gのうち食塩は何gか求める
- 何をxと置けばいいか考える
- 3種類の濃度の食塩水(4%、10%、6%)のうち食塩が何gになるか表にまとめる
- xを求める
順番に計算していきましょう。
4%の食塩水500gのうち食塩は何gか求める
先ほど説明したとおり食塩水の重さに濃度をかけるだけですね。
食塩の重さ=食塩水(全体)の重さ × 濃度
食塩の重さ=500 × 0.04 =20
食塩の重さは20gですね。
何をxと置けばいいか考える
何かをxと置きます。
何をxと置けばいいでしょうか?
問題が
10%の食塩水を何g混ぜればよいか。
となってますので、知りたいのは10%の食塩水の重さです。
単純にこの問題の答えとなる「何g」をxと置きましょう。
3種類の濃度の食塩水(4%、10%、6%)のうち食塩が何gになるか表にまとめる
いま、10%の食塩水の重さをxと置きましたので、これを活用して下のような表を作ります。
食塩水(全体) | 食塩 | |
4% | 500 | 20 |
10% | x | 0.1x |
6% | 500+x | 20+0.1x |
1番上の行が、元の食塩水。
2行目が、混ぜる(追加する)食塩水。
3行目が、その結果できる食塩水です。
4%の食塩水
食塩水(全体)と食塩、水の重さは先ほど説明したとおりです。
10%の食塩水
食塩水(全体)の重さは、こちらでxと置きました。
食塩の重さは、食塩水(全体)の重さの10%なので、0.1xになります。
6%の食塩水
食塩水(全体)の重さは、4%の食塩水と10%の食塩水を足したものなので、500+xになっています。
食塩の重さについても、4%と10%を足すだけでいいです。
いずれも表を縦に足しただけですね。
難しく考える必要ないですね。
xを求める
ではxを求めましょう。
どうすればxが求まるでしょうか?
表の6%のところに注目してください。
- 食塩水(全体) 500+x
- 食塩 20+0.1x
この両者が6%の関係になっていればいいのです。
というわけで
食塩の重さ=食塩水(全体)の重さ × 濃度
この式に当てはめると
20+0.1x=(500+x)×0.06
これを解きます。
20+0.1x=30+0.06x
0.04x=10
x=250
というわけで、10%の食塩水(全体)の重さが250gと算出できました。
検算
一応検算してみましょう。
- 食塩水(全体) 500+x
- 食塩 20+0.1x
先ほどでてきたこちらの2式のxに250を代入します。
- 食塩水(全体) 500+250=750
- 食塩 20+0.1×250=20+25=45
算出された数字から濃度を計算しましょう。
濃度=食塩÷食塩水(全体)
濃度=45÷750=0.06
ということでちゃんと6%の食塩水になることが確認できました。
次に問2を解いてみよう!
(問2)
4%の食塩水300gに食塩を混ぜて10%の食塩水をつくりたい。
何gの食塩を混ぜればよいか。
問1との違いは、食塩水に食塩水を混ぜるのではなく、食塩を混ぜるという点ですね。
さっそく表を作ってみましょう。
食塩水(全体) | 食塩 | 水 | |
4% | 300 | 12 | 288 |
食塩(100%) | x | x | 0 |
10% | 300+x | 12+x | 288 |
1番上の行が、元の食塩水。
2行目が、混ぜる(追加する)食塩。濃度は100%としています。
3行目が、その結果できる食塩水です。
先ほどと大体同じですが、理解を促すために一番右側に「水」という欄をこしらえました。
4%の食塩水
食塩の重さ=食塩水(全体)の重さ × 濃度
なので、
食塩の重さ=300 × 0.04=12
と計算できます。
水の重さは、全体から食塩の重さを引いて、
水の重さ=300 - 12=288
とわかります。
食塩(100%)
問題が
何gの食塩を混ぜればよいか。
となってますので、この問題の答えとなる食塩の重さをxと置きます。
食塩には水は一切入ってませんので、水は0です。
全体の重さは、
全体の重さ=食塩の重さ+水の重さ
で、水の重さが0なので、
全体の重さ=x+0=x
になります。
10%の食塩水
先ほどの表と同じく表を縦に足していきます。
すると
- 食塩水(全体) 300+x
- 食塩 12+x
になります。
この両者が10%の関係になればいいのです。
というわけで
食塩の重さ=食塩水(全体)の重さ × 濃度
この式に当てはめると
12+x=(300+x)×0.1
12+x=30+0.1x
0.9x=18
x=20
よって、求めるべき食塩の重さが20gとわかります。
検算
こちらも検算しましょう。
- 食塩水(全体) 300+x
- 食塩 12+x
こちらの2式のxに20を代入します。
- 食塩水(全体) 300+20=320
- 食塩 12+20=32
濃度を計算します。
濃度=食塩÷食塩水(全体)
濃度=32÷320=0.1
濃度が10%ということが確認できました。
オッケーですね。
最後に問3を解こう!
(問3)
8%の食塩水が500gあります。
この食塩水を何gまで煮詰めると、濃度は10%になりますか。
最後にこの問題解いて終わりましょう。
問1・問2との違いは、「煮詰める」ですね。
「煮詰める」というのはどういうことかと言うと、水を蒸発させるということですね。
つまり食塩水から水だけ減らすということです。
さっそく表を作りましょう
食塩水(全体) | 食塩 | 水 | |
8% | 500 | 40 | 460 |
蒸発した水 | ??? |
0 |
??? |
10% | x | 40 | x - 40 |
1番上の行が、元の食塩水。
2行目が、蒸発した水の欄ですが、実はこの問題は水が何g蒸発したかを求めなくても解けます。
なので「???」としています。
3行目が、その結果できる食塩水です。
8%の食塩水
同じパターンですね。
食塩の重さを求めます。
食塩の重さ=食塩水(全体)の重さ × 濃度
なので、
食塩の重さ=500 × 0.08=40
と計算できます。
水の重さは、全体から食塩の重さを引いて、
水の重さ=500 - 40=460
です。
蒸発した水
蒸発した水の重さは求めなくてもこの問題は解けますので、表の中では「???」としています。
それよりも重要なことは、食塩は増えも減りもしないということです。
表では「0」で示しています。
10%の食塩水
問題が
この食塩水を何gまで煮詰めると、濃度は10%になりますか。
となってますので、この問題の答えとなる10%の食塩水(全体)の重さをxと置きます。
先ほどの表と同じく表を縦に足していきます。
すると
- 食塩水(全体) x
- 食塩 40
になります。
食塩が40gで、濃度が10%になればいいです。
できる人はもう暗算でもできるかもしれませんが、
食塩の重さ=食塩水(全体)の重さ × 濃度
この式に当てはめると
40=0.1x
x=400
よって、求めるべき食塩水(全体)の重さは400gとわかります。
表を完成させるとするとこうなります。
食塩水(全体) | 食塩 | 水 | |
8% | 500 | 40 | 460 |
蒸発した水 | - 100 |
0 |
- 100 |
10% | 400 | 40 | 360 |
蒸発した水の重さをマイナスで表記しています。
まとめ
まとめ行きましょう。
食塩水の濃度の問題のコツはただ1点。
食塩の重さを押さえる
これだけです。
そのために必要なポイントが3つありました。
- 食塩水(全体)の重さ=食塩の重さ+水の重さ
- 濃度=食塩の重さ ÷ 食塩水(全体)の重さ
- 食塩の重さ=食塩水(全体)の重さ × 濃度
1.は当たり前のことを言ってます。
2.と3.は同じことを別の言い方をしているだけです。
具体例を用いて、食塩の重さを軸に問題を解いていきました。
きちんと段階を踏んで表に整理すればそんなに悩まなずに解けると思います。
それでは終わります。
最後までご覧いただきありがとうございました。
【日常の謎】Is this〜?と聞かれたらitで答える謎【中学英語】
今週のお題「自由研究」中学英語の初手の初手
中学1年生の娘の勉強を見てたら、下のような問題がありました。
(問)下の文の空白に当てはまる語を答えなさい。
Is this your pen?
No,( )( ).It is Takeshi's.
これで一瞬つまってしまいました。
答えは
No,( it )(isn't).
ですよね!
No,( this )(isn't).
ではないですよね!
娘「何でthisじゃなくてitなん? ややこしい」
ごもっとも!
他の問題では、
Is he a student?
No,he isn't.
確かにこれなら疑問文もその返答も主語がhe。
heで聞かれてheで答える。
わかりやすい。
なぜ主語がthisの疑問文の場合は、返答の主語はitなんでしょう?
逐語訳ではなく本質的な言葉の意味合いを抑えよう
「it」の訳出って「それ」ですよね。
「this」は「これ」。
どう違うのでしょう?
私は個人的に逐語訳的に英語を日本語に置き換えることに懐疑的です。
「日本語の○○=英語の▲▲」のように「=」で結ばれて完全に置き換え可能なことの方がまれだと思います。
単語ではないですけど、例えば日本語の「すみません」って英語にするとどうなるでしょう?
満員電車で人をかき分けて外へ出るときの「すみません」は、「Excuse me」です。
歩いていて人にぶつかったときの「すみません」は、「Sorry」です。
人の家の呼び鈴を鳴らしてなかなか人が出てこないときに家の中へ呼びかける「すみませーん」は、「Hello」でしょうか?
日本語の「すみません」の一語でも英語にすると多種多様な表現になります。
逆に英語の「break」だと、
1 〈物を〉(急激に強い力を加えて)壊す
砕く,割る,折る,ばらばらにする
(出典:breakの意味 - goo辞書 英和和英より抜粋)
日本語でさまざまな言葉で言い表していますが、「壊す」も「砕く」も「割る」も「折る」も「ばらばらにする」も、要するに「2以上の断片にする」ということですよね。
これが 「break」という言葉の本質的な意味合いです。
英語を理解するには、逐語的な言葉の置き換えではなく、本質的な意味合いを抑えていきたいですね。
調べてみよう、ロングマン現代英英辞典で!
では「it」の本質的な意味合いは何でしょう?
私は先ほど「break」の本質的な意味合いは「2以上の断片にする」と言いましたが、これは実は私の名から出てきた表現ではありません。
ちょっとお借りしてきました。
この表現をどこからどのようにして借りてきたかと言うと、下記の2サイトを利用させていただきました。
ロングマン現代英英辞典です。
英和辞典が英語の単語を日本語の単語に置き換える辞典としたら、こちらは英語の単語を英語で説明する辞典です。
国語辞典も日本語の単語を日本語で説明してますよね。
それと同じことです。
英和辞典より、英英辞典の方が言葉の本質を捉えやすいです。
「いやいや、英語の単語がわからんのに、それを英語で説明されてもその英文がわからんのやで?」
ですよね!わたしもそうですよ。
英語で説明されてもその英文が理解できません。
そのためにこちらを利用します。
紹介されるまでもなく、おなじみかもしれませんね。
では、「break」を例に手順をご説明しましょう。
1.まずロングマン現代英英辞典で「break」を調べます。
こんな画面が表示されると思います。
英語がいっぱいで嫌になりますが、そこをこらえて、
1 SEPARATE INTO PIECESa) [transitive] if you break something, you make it separate into two or more pieces, for example by hitting it, dropping it, or bending it
この辺りだけコピーします。
2.あとはGoogle翻訳にペーストして日本語にするだけです。
何かを壊した場合、たとえば、叩いたり、落としたり、曲げたりすることで、2つ以上の断片に分離します。
先ほど「break」の意味を「2以上の断片にする」と言ったのは、こちらから拝借いたしました。
「it」の意味をロングマン現代英英辞典で調べてみよう!
いよいよ「it」を調べてみましょう。
ロングマン現代英英辞典で調べてみると、
1 used to refer to a thing, animal, situation, idea etc that has already been mentioned or is already known about
これをGoogle翻訳にかけます。
すでに言及されている、またはすでに知られているもの、動物、状況、アイデアなどを指すために使用されます
つまり、「it」はすでに言及されていることを指す代名詞です。
「先に何らか話に上がったもの」「その前に話に出たもの」ということですね。
明らかに「it」は、「それ」ではないですね。
話に出てなくても「それ取って」とか言いますもんね。
逐語訳的な暗記は混乱のもとですね。