【わかりやすく解説!】「インボイス制度に関するQ&A」の解説その2~問66 (見積額が記載された適格請求書の保存等)
いつも参考にさせていただいている
消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A
こちらを解説していきたいと思います。
こちらのQ&Aは適格で丁寧に説明してくれていて、とてもいいんですが、
- それでもわかりにくい
- 言い回しが難しい
- 分量が多すぎて読む気になれない
そんな声もありますので、さらにかみ砕いた解説をしていきたいと思います。
問1から順番に解説というわけではなく、特に重要そうなものからピックアップしていきたいと思います。
問66 (見積額が記載された適格請求書の保存等)
当社では、水道光熱費など検針等に一定期間を要し、課税仕入れを行った課税期間の末日までに支払対価の額が確定しない課税仕入れについては、対価の額を見積もることにより仕入税額控除を行っています。適格請求書等保存方式の下においては、このような見積額による仕入税額控除の取扱いはどのようになりますか。【令和元年7月追加】
(出典:消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A 問66 (見積額が記載された適格請求書の保存等))
こちらが問66なんですが、私はどういう意味かわからなくて戸惑いましたw
いったい何を問うてらっしゃるんだろう?
まずはそこからお話を進めていきますね。
光熱水費は使用期間と支払時期がズレることがよくある
皆さんは電気代や水道料金の請求の流れについてご存じですか?
「たまに郵便受けに『検針のお知らせ』ってレシートみたいな紙が入ってるよ。そこに金額が書いてあるなあくらいしか覚えてないよ」
読まずに捨ててる人も少なくないと思いますがw
まずは、電気や水道の検針から請求までのフローについてです。
検針って何かというと、電気メーターや水道メーターを見てその家がどれだけ電気や水道を使ったかを調べることですね。
使った量に応じて金額が決まり、後に請求されます。
つまり
検針→金額決定→請求
こういうフローですね。
ちなみに検針の周期は把握されてますでしょうか?
毎月検針というところが多いと思いますが、地域によっては2か月に一度の検針というところもあると思います。
例えば、こんなケースが考えられます。
- 水道の検針が2か月に1度で、奇数月15日に検針しているとします。
- 5月15日に検針があったとしたら、それは前回の検針(3月15日)から2か月分の使用量を測定しています。
- この使用量により「5月分水道料金」が決定します。
- 「5月分水道料金」の請求書は6月1日に発送されるものとします。
ここでポイントは、使用した期間と支払の時期がズレるということです。
ここで、会計期間が4月1日~3月31日だったとしましょう。
今、上の例で「5月分水道料金」とした料金は3月15日から5月15日の間に使用した水道なので、厳密にいえば会計期間をまたいだ料金なんですね。
税金は会計期間ごとに計算をしますので、3月15~31日は前の年度の仕入れ、4月1~5月15日は次の年度の仕入れというふうに「5月分水道料金」を分けるべきなのです。
この場合、適格請求書が届くのは6月1日なので、これを待っていては消費税の確定申告に間に合いません。
(法人の場合、消費税の「申告期限及び納付期限は、原則課税期間の末日の翌日から2月以内です」(申告と納税|国税庁)ので、この場合だと3月31日から2か月が期限になります。)
こういった場合どうしたらいいでしょう?
その答えが国税庁「消費税基本通達」に載っています。
11-4-5 事業者が課税仕入れを行った場合において、当該課税仕入れを行った日の属する課税期間の末日までにその支払対価の額が確定していないときは、同日の現況によりその金額を適正に見積もるものとする。この場合において、その後確定した対価の額が見積額と異なるときは、その差額は、その確定した日の属する課税期間における課税仕入れに係る支払対価の額に加算し、又は当該課税仕入れに係る支払対価の額から控除するものとする。
(出典:消費税法基本通達 第4節 課税仕入れに係る支払対価の額|国税庁)
つまり、 3月15~30日の分を「適正に見積」もって、その後請求書が届いたら、残りの金額は次の会計期間の仕入れとしていいよということが書いてあります。
*ただし、実務上、使用期間にかかわらず支払い日が属する会計期間の仕入れとしても問題ないと認められる場合があります。
問66は、このような「見積額で仕入れとするパターン」はインボイス制度が始まったらどうなりますか?という質問だったのです。
これに対する回答が2種類用意されています。
① 見積額が記載された適格請求書の交付を受ける場合
「適格請求書がなければ交付してもらえばいいじゃない!」
というのが回答①ですね。
交付してもらえばいいのです、適格請求書発行事業者は交付する義務があるのだから。
かと言って、いちいち交付をお願いするのも面倒だし、相手方の手を煩わせるのも気が引けます。
そういう場合は回答②です。
② 見積額が記載された適格請求書の交付を受けられない場合
電気・ガス・水道水の供給のような適格請求書発行事業者から継続して行われる取引(注)2については、見積額が記載された適格請求書や仕入明細書の保存がなくとも、その後、金額が確定したときに交付される適格請求書を保存することを条件として、課税仕入れを行う事業者が課税期間の末日の現況により適正に見積もった金額で、仕入税額控除を行うこととして差し支えありません。
要するに適正な見積りでオッケーと言ってます。
一応2つ条件があって
- 継続して行われる取引であること
- 金額が確定したときに交付される適格請求書を保存すること
2.はわかりますね、適格請求書を保存しましょう。
1.については、電気・ガス・水道水のほかにどんなケースが該当するのでしょうか?
回答の(注)2に書かれています。
2 このほか、例えば、機械等の保守点検、弁護士の顧問契約のように契約等に基づ
き継続的に課税資産の譲渡等が行われ、金額が確定した際に適格請求書の交付を受
ける蓋然性の高い取引がこれに該当します。
機械等の保守点検、弁護士の顧問契約のようなものが継続的な取引と認められるようです。
ちゃんと契約書と取り交わしていれば認められそうな気がしますね。
本日は以上になります。
お付き合いくださいましてありがとうございました!