知ラナイモノが多すぎる

検索したりしてわかったことなどを書きつけます。

【わかりやすく解説!】「インボイス制度に関するQ&A」の解説その1~問65 (口座振替・口座振込による家賃の支払)

これまでちょくちょく引用していた

消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A

こちらを解説していきたいと思います。

こちらのQ&A適格で丁寧に説明してくれていて、とてもいいんですが、

  • それでもわかりにくい
  • 言い回しが難しい
  • 分量が多すぎて読む気になれない

そんな声もありますので、さらにかみ砕いた解説をしていきたいと思います。

問1から順番に解説というわけではなく、特に重要そうなものからピックアップしていきたいと思います。

問65(口座振替・口座振込による家賃の支払)

当社は、事務所を賃借しており、口座振替により家賃を支払っています。不動産賃貸契約書は作成していますが、請求書や領収書の交付は受けておらず、家賃の支払の記録としては、銀行の通帳に口座振替の記録が残るだけです。このような場合、請求書等の保存要件を満たすためにはどうすればよいですか。

 (出典:消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A 問65(口座振替・口座振込による家賃の支払)

口座振替で支払いをしているために、適格請求書が交付されていないという状況ですね。

こういうことはよくあると思います。

この問65の場合は家賃ですが、この他電気・ガス・水道・電話料金などを口座振替で支払っているところも多いのではないでしょうか。

口座振替で支払ってしまうと、請求書はもちろん領収書も手元に残らないということが起こります。

インボイス制度では、仕入税額控除の要件として適格請求書の保存がありました。

このままでは仕入税額控除できないの?!

どうしたらいいのでしょうか?

適格請求書を交付する義務

まずひとつ考えられるのは、適格請求書発行事業者に適格請求書の交付を求めることです。

問65でいうと事務所の家主に「適格請求書を発行してちょうだい!」とお願いするのです。

適格請求書発行事業者には「取引の相手方の求めに応じて、適格請求書を交付する義務」というのがありますので、これを断ることができません。

このことがQ&Aにこのように書かれています。

適格請求書は、一定期間の取引をまとめて交付することもできますので、相手方(貸主)から一定期間の賃借料についての適格請求書の交付を受け、それを保存することによる対応も可能です。

(出典:問65)

この中で一定期間の取引をまとめて交付ということも書いてくれてますので、毎月毎月「適格請求書を発行してください!」というのも煩わしいので、会計期間ごとに発行をお願いするのがよいのではないでしょうか。

複数の書類による対応

適格請求書の定義についておさらいしましょう。

ひとつ目、適格請求書とは、適格「請求書」と言いながら、請求書のみを指すものではありませんでした。

適格請求書には、納品書や領収書その他これらに類する書類を含みます。

ふたつ目、適格請求書の要件として、以下の事項を記載しないといけません

① 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
② 取引年月日
③ 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
④ 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率
⑤ 消費税額等(端数処理は一請求書当たり、税率ごとに1回ずつ)
⑥ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

(出典:消費税の仕入税額控除の方式として適格請求書等保存方式が導入されます(リーフレット)(平成30年4月)(令和2年6月改訂)

ただし、一つの書類のみでこれを満たす必要はなく、複数の書類を組み合わせて記載事項を満たせばオッケーです。

問45にこのように明記されています。

 適格請求書とは、必要な事項が記載された請求書、納品書等の書類をいいますが、一の書類のみで全ての記載事項を満たす必要はなく、交付された複数の書類相互の関連が明確であり、適格請求書の交付対象となる取引内容を正確に認識できる方法(例えば、請求書に納品書番号を記載する方法など)で交付されていれば、これら複数の書類に記載された事項により適格請求書の記載事項を満たすことができます(インボイス通達3-1)。

 (出典:消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A 問45(複数書類で適格請求書の記載事項を満たす場合の消費税額等の端数処理)

ここにも書かれているように、複数の書類を駆使する場合、それら「複数の書類相互の関連が明確」であることが条件になります。

どういうことかと言うと、例えば

  1. 納品書請求書を組み合わせて適格請求書の記載事項①〜⑥までを満たそうと思っています。
  2. 請求書には、
    ①事業者名と登録番号
    ②取引年月日
    ④対価の額及び適用税率
    ⑤消費税額
    ⑥相手方名
    が記載されています。
  3. 一方納品書には、
    ①事業者名と登録番号
    ③取引内容
    ⑥相手方名
    が記載されています。
  4. 確かに請求書納品書を合わせれば、記載事項①〜⑥を満たせそうです。
  5. ここに税務署から職員の方が来られて、この請求書と納品書を見たところ、「この2つの書類は本当に一体のものですか?別の取引のものではないですか?」と聞かれました。
  6. 経理担当者はグッとのどを詰まらせましたとさ。

「複数の書類相互の関連が明確」であることとは、こういうことなんですね。

誰が見てもこの書類とこの書類は一体のものだということがわかるようにしておく。

問45には「例えば、請求書に納品書番号を記載する」と方法の例示までしてくれてます。

口座振替で支払った場合、複数書類を組み合わせて適格請求書とする方法

問65の口座振替に話を戻します。

問65から引用します。

ご質問の場合には、適格請求書の記載事項の一部(例えば、課税資産の譲渡等の年月日以外の事項)が記載された契約書とともに通帳(課税資産の譲渡等の年月日の事実を示すもの)を 併せて保存することにより、仕入税額控除の要件を満たすこととなります。

口座振替で支払った場合でも、契約書と通帳を組み合わせて適格請求書とする方法を示してくれています。

もう契約書に記載事項の②取引年月日以外は書いてしまうわけです。

取引年月日は要するに支払い日になりますから、契約書にたとえ支払予定日は書けても、実際の取引年月日は書けないですからね。

では取引年月日はどうするか?

通帳に記載されていますので、それを利用します。

これで契約書と通帳で記載事項が満たされたことになります。

あとは「複数の書類相互の関連」をどのように明示するかですが、これについてはQ&Aには載っていません。

なので個別に考えないといけません。

「複数の書類相互の関連が明確」であることは、いったいどこまで何をすれば認められるんでしょうか?

契約書と通帳のケースだと、契約書に金額と引き落とし日が書いてあって、通帳を見ればだいたいその日にその金額の引き落としがあることがわかれば、それでいいのでしょうか?

なお、インボイス制度が始まっていない現行の制度では、「請求書等の交付を受けられなかったことにつきやむを得ない理由があるとき」に該当するとして、「帳簿には、やむを得ない理由として「口座振替のため」等と記載することで差し支えありません。」としております。

(参考:家賃を口座振替により支払う場合の仕入税額控除の適用要件|国税庁

要するに「請求書がもらえなかったので、帳簿にその旨を書くだけでいいよ」と、そう書いてあります。

私も勉強不足で断定的な言い方はできませんが、インボイス制度が始まってから、どのラインが妥当か、現行と同じような扱いなのか、いずれ決まっていくものと思います。

口座振込の場合では?

問65から続いて引用します。

また、口座振込により家賃を支払う場合も、適格請求書の記載事項の一部が記載された契約書とともに、銀行が発行した振込金受取書を保存することにより、請求書等の保存があるものとして、仕入税額控除の要件を満たすこととなります。

 私は口座振込口座振替の区別がつかなくて、一定時間混乱しましたw

皆さまはいかがでしたか?

  • 口座振替=定期的に自動でお金が引き落とされること
  • 口座振込=1回こっきり単発で他人の口座にお金を振り込むこと

ですよ。

先ほどは、口座振替で毎月家賃が引き落とされるケースについてでした。

今度は家主の口座にお金を振り込むケースです。

このケースも適格請求書は発行されていませんね。

Q&Aでは、口座振替と同じように、契約書と「銀行が発行した振込金受取書」とを組み合わせて適格請求書とすることを例として挙げています。

振込金受取書」とは、窓口で支払ったときにもらう領収書のようなものです。

契約書と振込金受取書を合わせて保存するのは、現行でも同じような扱いですね。

(参考:賃料を口座振込により支払う場合の仕入税額控除の適用要件|国税庁

窓口なら領収書がもらえますが、ATMならどうでしょう?

「ご利用明細」のようなレシートみたいなものはもらえますね。

インターネットバンキングで振り込んだ場合はどうなるのでしょう?

「ご利用明細」は画面上に表示されるかもしれませんが、画面を印刷するのでいいのでしょうか?

私も勉強不足で確固たる答えは持ち合わせておりませんが、今後の課題としたいと思います。

 

それでは本日は以上です。

お付き合いいただきましてありがとうございました。