【わかりやすく解説!】「インボイス制度に関するQ&A」の解説その3~問63(任意組合の構成員が保存しなければならない請求書等)
いつも参考にさせていただいている
消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A
こちらを解説していきたいと思います。
こちらのQ&Aは適格で丁寧に説明してくれていて、とてもいいんですが、
- それでもわかりにくい
- 言い回しが難しい
- 分量が多すぎて読む気になれない
そんな声もありますので、さらにかみ砕いた解説をしていきたいと思います。
問1から順番に解説というわけではなく、特に重要そうなものからピックアップしていきたいと思います。
問63(任意組合の構成員が保存しなければならない請求書等)
当社は、取引先数社と任意組合を組成し、イベントを行っています。現行、仕入先から交付される請求書等は、幹事会社が保管し、当社を含めた構成員は、幹事会社から精算書の交付を受けています。
適格請求書等保存方式においては、構成員である当社も仕入先から適格請求書の交付を受け、保存する必要がありますか。
(出典:消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A 問63(任意組合の構成員が保存しなければならない請求書等))
いきなり「任意組合を組成し」とか言われてびっくりしてしまいましたね。
耳慣れない言葉を見るとと思わず逃げ出したくなりますが、ここはぐっとこらえましょう。
大したことないですからw
全然難しくないです。
何なら「任意組合を組成し」を「コラボって」に置き換えてもいいでしょう。
「当社は、取引先数社とコラボって、イベントを行っています。」
どうですか?
もっと簡単に「一緒に」にしましょうか。
「当社は、取引先数社と一緒に、イベントを行っています。」
こんなふうに難しい言葉や聞きなれない言葉が出てきても、落ち着いて対処することが大切です。
質問を要約すると、
- 複数の会社でコラボってイベントをしています。
- そのコラボは、リーダーである幹事会社とその他の構成員とで組織されています。
- 当社は構成員です。
- 仕入にかかる費用は、いったん幹事会社が代表して支払います。
- 当社(構成員)は、幹事会社からの精算書を受けて、幹事会社にお金を払って精算しています。
- 仕入先からの請求書は幹事会社が保管しています。
- 幹事会社への精算なので、当社は仕入先から請求書をもらっていません。
- 仕入先から適格請求書をもらうべきでしょうか?
こういう質問ですね。
とどのつまり、立替払いですね。
例えば飲み会などでも、幹事がとりあえず一括して支払いを済ませて、レシートを見せて「ひとり5,000円ねー」とか言って他の人からお金を徴収することってよくありますよね。
それと同じことですね。
個人間であればお金を払ってしまえばそれでおしまいですが、会社となるとそうもいきません。
お金を払った後、消費税の計算をしないといけませんから。
インボイス制度が始まってしまうと、「適格請求書もらってないけど、これは仕入税額控除できるの?税務署に指摘されない?」と不安になってしまいます。
これに対する回答がこちらです。
幹事会社が仕入先から交付を受けた適格請求書のコピーに各構成員の出資金等の割合に応じた課税仕入れに係る対価の額の配分内容を記載したものは、貴社及びその他の構成員における仕入税額控除のために保存が必要な請求書等に該当するものとして取り扱われますので、その保存をもって、仕入税額控除のための請求書等の保存要件を満たすことになります。
幹事会社からの精算書に適格請求書のコピーをつけてもらえればオッケーですよと言ってくれています。
「いやいや、コラボしてる会社がたくさんありすぎてコピー無理やねん」
こういうケースもあるかも知れません。
こういうケースに対する回答をくれています。
適格請求書のコピーが大量となる等の事情により、立替払を行った幹事会社が、コピーを交付することが困難なときは、幹事会社が仕入先から交付を受けた適格請求書を保存し、精算書を交付することにより、貴社は幹事会社が作成した(立替えを受けた構成員の負担額が記載されている)精算書の保存をもって、仕入税額控除を行うことができます(インボイス通達4-2)。
結論としては、精算書の保存だけで仕入税額控除できるよ、と書いてあります。
もちろん幹事会社には仕入先からの適格請求書を保存してもらいましょう。
ただし、下記の事項を明らかにしないといけません。
- 仕入税額控除ができるか(相手方が適格請求書発行事業者なのか)
- 適用税率ごとに区分すること
仕入税額控除の計算をするにあたって必要な事項ばかりですね。
また、帳簿をつける際には「仕入れの相手方の氏名又は名称の記載が必要」ですので、ご留意ください。
想定できるケースとしては、複数の仕入先からの費用をまとめて精算する場合に注意が必要です。
例えば
- 幹事会社1社と構成員2社とコラボってイベントを開催するとします。
- 費用は、出資額に応じて、
幹事会社:構成員:構成員=2:1:1
の比率で配分するとします。 - 幹事会社は、仕入先A社へ50万円、B社へ30万円、C社へ20万円支払ったとします。
当社が構成員のうちの1社としたら、精算はとりあえず幹事会社に25万円支払うことで間違いないと思います。
でも、支払いが終わって安心してはいけません。
それだと個人間の飲み会の精算と同じです。
この25万円の内訳がわからないと仕入税額控除できなくないですか?
まず、A社B社C社のすべてが適格請求書発行事業者かどうかわかりませんよね?
支払った100万円のうち食料品など軽減税率の対象品目がいくらあるのかもわかりません。
こういった事項を幹事会社と構成員の間でハッキリさせておくというのが大事になってきます。
本日は以上になります。
お付き合いくださいましてありがとうございました!