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「消費税の仕入税額控除の方式として適格請求書等保存方式が導入されます(リーフレット)」の解説その3

さあ、今回で3回目ですね。

消費税の仕入税額控除の方式として適格請求書等保存方式が導入されます(リーフレット)(平成30年4月)(令和2年6月改訂)(PDF/459KB)

 を読んでいきましょう!

適格請求書発行事業者の2つの義務

3 適格請求書発行事業者の義務等(売手側の留意点)

 適格請求書発行事業者には、適格請求書を交付することが困難な一定の場合(下記(2)参照)を除き、取引の相手方(課税事業者に限ります。)の求めに応じて、適格請求書を交付する義務及び交付した適格請求書の写しを保存する義務が課されます。
※ 不特定多数の者に対して販売等を行う小売業、飲食店業、タクシー業等については、記載事項を簡易なものとした「適格簡易請求書」を交付することができます。

 適格請求書発行事業者には2つの義務があることが述べられています。

  1. 取引の相手方の求めに応じて適格請求書を交付する義務
  2. 交付した適格請求書の写しを保存する義務

この2点ですね。

原則これらの義務を果たさないといけませんが、原則には例外がつきものです。

引用部分冒頭の「適格請求書を交付することが困難な一定の場合(下記(2)参照)を除き」が、1.の交付義務の例外ですね。

このことについて見ていきましょう。

適格請求書を交付することが困難な場合とは?

このリーフレットの2頁目下段に「(2) 適格請求書の交付義務免除」があると思います。

こちらから引用します。

 適格請求書を交付することが困難な以下の取引は、適格請求書の交付義務が免除されます。
① 公共交通機関である船舶、バス又は鉄道による旅客の運送(3万円未満のものに限ります。)
② 出荷者が卸売市場において行う生鮮食料品等の譲渡(出荷者から委託を受けた受託者が卸売の業務として行うものに限ります。)
③ 生産者が農業協同組合、漁業協同組合又は森林組合等に委託して行う農林水産物の譲渡(無条件委託方式かつ共同計算方式により生産者を特定せずに行うものに限ります。)
自動販売機により行われる課税資産の譲渡等(3万円未満のものに限ります。)
⑤ 郵便切手を対価とする郵便サービス(郵便ポストに差し出されたものに限ります。)

順々に見ていきましょう。

ちなみに、免税取引・非課税取引・不課税取引については、交付義務はありません。課税取引のみが対象です。

① 公共交通機関である船舶、バス又は鉄道による旅客の運送(3万円未満のものに限ります。)

 例えばあなたが出張などでバスや電車を利用した場合、いちいち適格請求書をもらってられますかってことです。

あるいは、バス会社や電車会社がいちいち適格請求書を発行してられますかってことですね。

そんなやり取りしてられないので、適格請求書の交付が困難と認められています。

ただし、3万円以上になると話は別です。適格請求書の交付が義務付けられます。

該当するのは、新幹線などの場合でしょうか。

② 出荷者が卸売市場において行う生鮮食料品等の譲渡(出荷者から委託を受けた受託者が卸売の業務として行うものに限ります。)
③ 生産者が農業協同組合、漁業協同組合又は森林組合等に委託して行う農林水産物の譲渡(無条件委託方式かつ共同計算方式により生産者を特定せずに行うものに限ります。)

②と③の場合なんですが、例えば想定されるのは農家の方が卸売市場や農協を通じて野菜の販売を委託するなどのケースですね。

例えば、農家のコロスケさんが、自分が生産したトマトの販売を農協に委託したとします。

八百屋の八百八さんが農協でそのトマトを買ったとします。

八百八さんは仕入税額控除のために適格請求書の交付を求めたいのですが、どこに求めればいいでしょうか?

原則的には、仲介しているだけの農協ではなく、生産者に適格請求書の交付を求めるべきです。

ですが、八百八さんはコロスケさんにたどり着けないパターンがあるのです。

それが、「無条件委託方式かつ共同計算方式により生産者を特定せずに行うもの」です。

その何とか方式って何?」と思われた方は、以下の引用をご覧ください。

① 無条件委託方式
出荷した農林水産物について、売値、出荷時期、出荷先等の条件を付けずに、その販売を委託すること
② 共同計算方式
一定の期間における農林水産物の譲渡に係る対価の額をその農林水産物の種類、品質、等級その他の区分ごとに平均した価格をもって算出した金額を基礎として精算すること

(出典:消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A 問28(農協等を通じた委託販売)

要するに、複数の農家が農協へ出荷して野菜がごちゃ混ぜになっている、どの野菜が誰の作った野菜かわからない状態だということですね。

なので、八百八さんは適格請求書の交付先がわからなくなってしまいました。

では、八百八は仕入税額控除をあきらめないといけないのでしょうか?

いえいえ、そうでもないんです。

農協などの仲介者が作成する書類で仕入税額控除ができるという規定があります。

(参考:消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A 問55(仕入税額控除の要件)

このため、生産者に直接適格請求書の交付を求めなくてもいいということになります。

自動販売機により行われる課税資産の譲渡等(3万円未満のものに限ります。)

こちらはイメージしやすいですね。

飲み物の自動販売請求書や納品書、レシートなんかありませんよね。

コインロッカーコインランドリー同様の取り扱いになりますが、最近流行っているスーパーやコンビニ等のルフレジは含まれません。

⑤ 郵便切手を対価とする郵便サービス(郵便ポストに差し出されたものに限ります。)

これについては勉強不足で、なぜこれが交付義務の対象外なのか説明できません。

ですのでこれから書くのは説明ではなく推測になります。

郵便局で郵便切手を買ったときって、非課税取引というのはご存知でしょうか?

課税じゃないんです。

え?63円切手や84円切手なんかの3円や4円の端数が消費税じゃないの?増税で値上がりしたやーん!

と思われた方は鋭いです。

ですが、違うんです。

何が違うかと言うと消費税がかかるタイミングが違うのです。

消費税は消費されたときにかかるものです。

切手が消費されるときとは、購入したときではないんです。

切手を使ったとき、すなわち手紙などをポストに差し出したときなのです。

なので、手紙をポストに入れたときに消費税がかかってきますので、このときに誰かから適格請求書をもらえるかと言うともらえるわけもありませんので、交付義務を免除されていると、そう推測しています。

 

ここでいったん区切らせていただきます。

ではまた次回。